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腐肉
【SM 官能小説】

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腐肉(その2)-1

「遅いじゃないか…」
 太い眉に黒縁の眼鏡をかけたあの男の肥えた顔を見たとき、僕は思わず体が硬直するのを感じていた。弛んだ顔に沈んだ豚のような淫猥な瞳が、あのときの記憶を僕の脳裏に浮かび上がらせる。

「すみません…」
 僕は思わず男の顔から目をそらし小さな声でつぶやく。
 すでに男は衣服を脱ぎ、トランクス一枚の姿で黒い革製の深々とした椅子にでっぷりと太った体を沈め、臭いの強い葉巻を吸っていた。ぶよぶよとした白く脂肪の垂れたような突き出た腹の肌は、どこか幼虫の皮膚を想像させた。男はあのときと同じように、薄い髪を独特の整髪料でべっとりと撫でつけ、体中から強い香水の匂いを漂わせていた。それがはっきりとあのときの淫猥な男の体臭を僕に思い出させた。
 外の猥雑な喧騒が嘘のように静かな部屋だった。窓にはブラインドが下ろされ、黄土色に変色した壁は剥げかけていた。高い天井には古ぼけたシャンデリアの蜜色の灯りが妖しく男の影を壁に映しだしていた。殺風景な広い洋風の部屋には古いアンティーク風の広いベット以外は何もなかった。 椅子に腰を下ろし、男が静かに吐いた葉巻の煙がうっすらとした灯りの中で澱み、淫靡な息苦しさが喉をじわじわと絞めつけるようだった。薄笑いを浮かべ、嗜虐に満ちたねっとりとした卑猥な男の
視線をすでに僕は肌に感じとっていた。
 僕は男の視線を遮るようにベットの傍でゆっくりとズボンとポロシャツを朱色の絨毯の上に脱ぎ落とした。そして女ものの薄いベージュのパンティだけを身につけたまま体をベッドに横たえようとした。
「こっちに来い… 俺の前に立つんだ…」
 男の低い声に、僕は黙って男の前に歩み寄り裸体を晒す。昔のことを男が思い出すのではないかと、僕の心の中ではどこか期待と不安が交差していた。男は僕の足の爪先から肩にかかった髪の毛先までゆっくりと粘着質の視線を舐めるように這わせた。
「かわいい顔だ。少し化粧をしているようだが、十九歳にしては幼く見えるな… よく似合う下着だが脱いでくれ…」 
 僕は男たちと会う前には、必ず薄く化粧をし長い睫毛を愛くるしく整え、小さな唇を潤ませたように口紅を塗る。どの男たちも僕のその濡れた唇に誘われるように声をかけてくる。
 男に命じられるままに、僕は小さな性器を含んだパンティを腰肌から剥ぎ取るように足先から脱ぐ。
 そしてなぜかこの男に裸を見られることに対して、僕は少し恥じらうように股間に手を添えた。

「女のような色白の素肌をしている…それに髪もきれいだ…」 
 男は僕の裸体に見とれ、ひとり言のようにつぶやいた。あの時の僕だとはまったく気づいていないようだった。そして男の目線が僕の下腹部に留まったそのとき、男は性器に添える僕の掌をかき分けるようにその萎えた肉棒に触れ、少女の可憐な陰毛に似た淡く恥じらうような繁みの細い産毛に指を絡めた。
「毛が薄いな…まるで子供のようだ…」
 僕はその言葉になぜか羞恥心を煽られるように頬を少し赤らめた。眼鏡の奥で小皺に囲まれた豚のような目を細め、男は包皮から少しだけのぞいた僕の亀頭の敏感な朱肉の粘膜に指を触れる。
 そして垂れた肉棒をまさぐるように肉幹の裏の皮膚の縫い目を掌でたどる。男のざらついた淫猥な掌は優しく竿の裏皮をゆっくり撫であげ、小さく縮み込んだ垂れ袋をその掌で包み込む。それからその睾丸の柔な感触を指で確かめると満足したように頷くのだった。


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