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光の風
【ファンタジー 恋愛小説】

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光の風 〈風神篇〉中編-4

「それはお受けできません。」

千羅の言葉にカルサは視線を向ける事で反応した。千羅の目は真っすぐカルサを見ていた。

「先程誓ったばかりです。私は貴方の傍から決して離れません。」

「しかし、千羅…。」

「皇子!」

異論を唱えようとするカルサの言葉を遮り、千羅は強く叫んだ。それは声ではなく気持ち、意志の強さの叫びだった。

「また私に、あんな想いをさせるおつもりですか!?」

千羅の声は囁く程度なのに、強く大きくカルサの心に響いた。彼の目が訴えている。

強い意志をカルサに訴えている。

その目にカルサは言葉を失ってしまった。

「失礼します、皇子。」

沈黙を破ったのは突然現れた瑛琳の声だった。

「どうした、瑛琳。」

「日向が城門へ向かいました。」

知らされた情報にカルサも千羅も驚きを隠せなかった。

「力はある程度、使えるようになりましたが…念の為にサポートに回ります。」

「分かった、そうしてくれ。」

「それから、貴未が北門で参戦しております。マチェリラは西門、日向は…あの位置ですと東門ですね。」

「そうか。」

瑛琳の報告にカルサは少し安堵の笑みを浮かべた。自分の下に戦力があった事に、こんなに感謝したことはない。

「ですから皇子、どうか千羅を傍においてやって下さい。」

カルサが瑛琳を見る。瑛琳はどこまでも穏やかな笑顔だった。千羅は感情が沸き上がって涙がでそうになる。

「私も涙を飲んで傍を離れております。皇子、私達の存在の意味は貴方様をお守りする事。」

どうぞ私達の気持ちを汲んで下さいませ、瑛琳はそう続けて頭を下げた。カルサは何も言えず黙って瑛琳を見つめる。

千羅も勢い良く頭を下げた。それがカルサの目の端に映っていた。

何も頭を下げることはないのに。ただ自分が太古の国の皇子というだけで、彼らが古の力を受け継いだという縁だけで時間を共にしているだけにすぎないのに。

こんなにも強く自分の生を願い、祈り続けている。守ろうと戦い続けてくれている。

この気持ちをどう言おう。


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