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学園の社長〜社長の連盟騒動〜
【ミステリー その他小説】

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学園の社長〜社長の連盟騒動〜-20

 浅瀬に上陸し艦が動かなくなると俺たちは操縦室を出て、すぐに出入り口の扉を開けた。行きの浜とは別の意味でさびれている。
「ここは一体どこだ? まさか俺たちの島とはまったく違う島なのか?」
 俺は不安になって錦田に聞く。
「ここは私たちの住んでいる島の南西部にある浜だ。このあたりは私たちの学園敷地のある場所とは違い、廃れているのでまず観光客は来ないだろう。そしてこの浜の近くには島のホームレスたちの住処となっている海崎公園や、かつてにぎわっていた海崎商店街があるはずだ。君が知らないのも無理はない。ウチの学生 でもここに来たことのある奴はあまりいないはずだ」
「そうなのか。安心した。ところで潜水艦をこのままにしておいていいのか?」
「ああ、それは切り離された後部とともに支部の研究員が回収に来てくれるだろうから心配ない。それに島のメイン部分とは隔絶されている場所だからあまり人も来ない。さあここを出よう」
 浜を抜けるとそこは並木道だった。公園には、本当にホームレスがいるのかビニールで張られたテントがいくつも建っていた。島にこんな場所があるなんて知らなかった。   
 錦田はこの辺の地理を完全に把握しており、向こう側の繁華街まで通じるバス亭の場所も分かっていた。バスを利用して繁華街まで行き、俺たちの寮のある学園敷地まで歩いたのだった。これにて俺たちの潜水艦騒動は幕を閉じた。あのまま非常通信機がなかったら俺たちはきっと海の藻屑となっていたに違いない。待 っていてもあの船長は最後まで助けにこなかっただろうからな。
  


さて、ここからは後日談である。潜水艦の騒動で一週間欠席した俺たちは復帰したとたんに中間テストの勉強に追われることになった。一週間の欠席があったにもかかわらず、不思議と教師からのお咎めは受けなくてすみ、クラスメイトたちの反応もなかった。
その中で滝沢は唯一不思議そうに俺に話しかけた。
「お前、社長と二人で何してたんだよ。奴のサボり病でも移ったのか」
「まあいろいろあってだな。気にするな」
滝沢は「まあそんなこたぁどーでもいいか。それよりな」といってさっさと別の話題に切り替えてしまった。滝沢の話によると、実は現在学園中は我が校の生徒会と教育委員会の対立事件で話題が持ちきりになっているそうだ。なんでも各学年で我が校の生徒会を支持する署名運動も行っているらしい。さらには教育委員 会まで押しかける生徒もいるとかいないとか。とにかくウチの学園の生徒にとってはまったくアツイ話である。そのおかげで錦田や俺の欠席などはまったく気にされておらずかえって都合がいいのだが。  
一方の錦田のほうはそんな状況に目もくれず、潜水艦騒動のあとは一人の学生として、淡々とテスト前の授業をこなしていた。俺はというとテスト前でもあまり危機感がわかなく、中間テストの日が来ても一夜漬けという常套手段を使ってなんとかやり過ごした。
 そしてテスト後の結果発表の日、廊下の掲示板に張り出された結果に俺のクラスメイトたちは一喜一憂していた。その中の一人、滝沢に俺は声をかける。
「よう滝沢。テストどうだったよ」
 滝沢は満足そうな笑みを浮かべた。
「けっこう良かったぜ。といっても一二〇位だけどよ。お前はどうだったんだ?」
「今からそれを見るところだぜ」
 生徒たちの後ろから背伸びして結果を見てみる。下の順位から自分の名前を探した。
「あったあった」
 『一五七位   種山田 隆志 タネヤマダ タカシ  )』
 一五七位か。滝沢には劣るがまあ悪くない。まだ俺の後ろに三〇人くらいいる。あと三〇人くらいのクッションが俺にはある。再試になるかならないか微妙だが。自分の結果をみたついでに、錦田の名前を探してみた。真ん中あたりを探してみるが、奴の名前はない。まさかと思い、上のほうを見た。
「げっマジかよアイツは……」
 錦田はあんな事件があったにもかかわらず一四位という好成績だったのだ。徹夜で間に合わせた俺と違い、奴はコツコツとテスト勉強をしていたのだろう。
そして錦田のほうはあれから潜水連盟についての話は一切しなくなったので、俺は中間テストが終わったあとにふと錦田に聞いたのだ。それについての答えはこれである。


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