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学園の社長〜社長の連盟騒動〜
【ミステリー その他小説】

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学園の社長〜社長の連盟騒動〜-10

「このスクリーンはなんですか?」
「決まっているだろう。ここで映画などを見ることができるのだ。だが電波の関係もあって面倒だからテレビはつけなかったよ。でもまあ映画だけでも何百本とこの潜水艦にはあるからとくに不自由しないがね。最近の技術の進歩は便利なものでデータとして映画や音楽を持ち出せるからな。見たい映画があればそこの映 写機とつながっているパソコンで探索できる。」
「最近の技術ではなく十年前には既にできていた技術ですがね。とにかく凄い量だな。アクションからホラーまで古今東西の映画がこの潜水艦には眠っているのか。でもニュースとか見れないと困りませんか?」
「そんなこともあるかと思って一応インターネットはできるようにしておいたのだ。あまり深いところに潜るとインターネットがつながらなくなるがな」
「海の中もいろいろと不自由なんですね」
「なあに、普段は映画や本を楽しんだりするので気象予報以外はニュースなど不要だよ。せっかく海の中の生活を満喫しているのに、地上の情報に振り回されては意味がないからな」
 確かに山崎のいうことも一理ある。海の中には海の中の生活環境というのもあるのだろう。海の中である以上、そこは地上から隔離された世界でなくてはならないかもしれんな。
「ここなら人里の喧騒から離れて、静かに暮らせそうですね」
 俺がそういうと山崎は顔をしかめた。
「気に入ったかな? ではお前さんも一度この潜水艦で生活してみるか?」
「え?」
 いきなりそんなこといわれても困る。しかし山崎の大マジな口調でいった
「君が我が潜水連盟に入会してくれればすぐにでも潜水艦をもう一台用意しよう。ちょうど今開いている最新機種があるのだ。お前さんは錦田君の友人ということで信用もありそうだからな。まあしかし君は学生ということで保護者が心配するかもしれんがな」
「まあ考えときます」
俺は適当にその誘いを受け流した。保護者といっても、俺を学園で寮生活を送っているためにそれは障害にならないだろうが、引っ越したばかりの寮を離れて潜水艦で生活なんてできることではないだろう。だいいち俺はただの学生なので、毎日学園に通わなくてはならない。そのたびに陸に浮上するのはめんどくさすぎ るし、潜水艦が人に見つかったりでもしたら厄介なことになるだろう。それにしても錦田はこんな変人と親睦があるのかよ。いったいどういう関係なんだか。
 山崎は部屋を案内した後、潜水艦の別の部屋も見せてくれた。海で入手した貴重な品がおいてある展示室もあったし、どこから水を持ってくるのか分からないがシャワー室もあった。このことについて山崎は海水をろ過しているのだと説明を加えた。
 さらには潜水艦で生活していくための酸素を供給するタンクもあるらしい。これは重要なことらしく、潜水艦の三分の一をその酸素タンクで占められているということだ。
「ぶっちゃけ酸素は食料よりも大事ですしね」
 巨大なタンクを前にして驚き、納得しながら俺はいう。
「いかにも。しかし長い間生活しているとこのタンクすら切れる危機がやってくることもあるのだ。その対策を今からお前さんに披露しようじゃないか」
山崎は俺についていくように促すと潜水艦の前頭部のほうに足を進める。その途中廊下についている窓を見ると青、黄、緑と様々な色の魚が潜水艦と競争するようにして泳いでいるのが見える。それにしてもさっきから誰が操縦しているのだろう。山崎と俺のほかにも何人かの船員がここで生活していて艦を動かしてるの だろうか。
「お前さんのご学友がお見えしているよ」
「え?」
 俺は
「やあ、船長に連れてこられたようだね」
 操縦席には錦田が一人いた。帰りに直接向かったのか学園の制服である紺のブレザーを着ている。
「に、錦田。なんでお前こんなところにいるんだよ。ってかお前潜水艦なんて操縦できたのかよおい」
 錦田以外に人間は一人もいなく、彼のそばにはやたらとでかいダンボール箱がおいてあるだけだ。ということはこの潜水艦は錦田だけで運転されていたようだ。
「そう難しい顔をされても困るな。この潜水艦の操作は簡単だからね。素人でも一分でできる。もともと全自動で動いているんだよ。よかったら君も操縦してみるかい?」
 錦田は操縦席からひょいと飛び降りと、俺の肩をつかんで操縦席のほうを向かせた。


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