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白ぃ華が咲き乱れる頃
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白ぃ華が咲き乱れる頃〜love letter〜-4

そして年が明け、1月も終わり、2月になる頃、手紙は来なくなった…。

2週間待っても手紙は届かなかった。
不安でおし潰される限界になり、俺は病院へと行った。


2ヵ月前に行った病室へ行ってみると、蘭の名前が書かれたプレートは無く、使用者のいない空っぽのベッドは、何とも無機質な部屋を演出していた。

(あいつ、部屋移ったのか)

俺は病院中を歩き回った。だが、蘭の名前が掛かっている部屋は一つも無かった。

見落としているに違いない。そう思い、どれくらい病院を歩き回った事だろう。何度この広い病院を歩いても、蘭の名前にはお目にかかれなかった。

(何だ…退院したのか。それなら手紙に書けばイイのになぁ。あいつ会ったらお仕置きだな)


そして病院を出ようとしたところ…、

「佐藤…涼輔クン??」
30代後半くらいの看護婦に呼び止められ、足を止めた。

『そうですが…』
「やっぱり…蘭チャンからあなたの写メール、イッパイ見せてもらってたの」
『蘭は…いつ退院したんですか??』

その言葉を聞いた看護婦は、悲しい顔をして、
「蘭チャンはね、クリスマスの日に……」
そこで言葉をつまらせ俯いた。
俺は笑いながら…、
『クリスマスに退院したんですかぁ。ヒドイなぁ、あいつ何も言ってくれなかったし、俺フラれたなぁ』
そんな言葉を吐いていた。


「亡くなったのよ…」


さっきまで俯いていた看護婦は一筋の涙を流し、俺の顔を真っすぐ見て言った。

『何言ってるんですかぁ。2週間前まであいつから手紙だってきてたんですよ』
「それはね、のぞみが…」


俺の頬に、冷たいものが伝った。
そして笑いしか出て来なかった。

『ハハッ…アハハッ!!……んな事ぜってぇありえねぇ!!ありえねぇょ!!!』

蘭が…蘭が死んだ??
クリスマスに??
じゃあ俺は、それから誰と手紙のやりとりをしてたんだ??

半狂乱になりながら病院を飛び出し、どこをどう行ったのかも分からないが、気が付いたら、のぞみサンがいつも使うと言っていた駅に来ていた。
そして制服姿で歩いてくるのぞみサンを見つけた。

夢か現実かの区別もつかず、ボーッとのぞみサンを見つめていた。
彼女は俺に気付き、ゆっくりと近づいてくる。
そして俺の前に無言で俯き、俺の言葉を待っている。

俺はただ一言、一番聞きたい言葉を投げ掛ける。
『蘭は??』
それでものぞみサンは黙ったままだった。

『手紙がずっと来なくてさ、さっき蘭に逢いに行ったんだ。でもクリスマスに退院したらしくてさ、変な看護婦は死んだって言ってたんだケド、何考えてるんだろうな、ハハッ』
「…――ったのょ…」
『え??聞こえない』
「…亡くなったのょッッ!!」

(亡くなった??亡くなった…って、何だろう)
俺はまた、思考回路を停止させられてしまった。

のぞみサンも何も言わずカバンから何かを出し、俺に押しつけた。
そして走り去っていった。


…手紙??


渡された物を見ると、いつも蘭から送られてきていた、女の子らしいピンクの封筒だった。


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