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幼馴染みの定義
【幼馴染 恋愛小説】

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幼馴染みの定義-9

「あれ、ノンフィクションだったりするんだ」

「まあ、三人に一人はいるだろうな」

「混ざりに行こうと考えたのもノンフィクション」

 この話をした時に生じた妙な違和感の正体に気づいてしまい、嫌な予感がした。

 そして、予感はすぐに当たった。

「中学に入る、すぐ前の話なんだけどね。 見ちゃったんだ、親のエッチ」

 中学に入る前、まだおれ達の仲が良かった頃。 子供らしく純粋に生きていた時代。

 誰よりも純粋なハナが、当の現場に直面してしまった。 どうなるかは、誰でもわかることだろう。

「そのときは、そういうエッチなことは学校の保健体育で学んだだけだから、あまりわからなくって。 でも、胸に何かが刺さったような感じがした。 優しいお母さんと温厚なお父さんがこんなことをしてるんだって、親の裏側を見た気がして」

 おれは実際に体験したことがないからわからない。 だが、ハナの苦笑いを含ませた話し方を見ると、ひしひしと悲しみを感じる。

 こんな話は初耳だ。 何故今まで聞いてやれなかったのだろう。

「見てる内に、なんか、体がむずむずしてきて、両親のやってる性行為は「『楽しいこと』なんだ」って認識しちゃったの。 次は、もう気づいてると思うけど、笑わないでね?」

「もちろん」

「思わず" 楽しいことならあたしもやりたい "って。 馬鹿みたい」

 親身に話を聞けるのは、何故だ?

 『お隣さん』だからか? 『幼馴染み』だからか?

 この答えを出すには、まだ早い気がする。

「それから親と気まずくなって。 このことを誰かに話したくて、相談したくてたまらなかった」

 よくよく考えたら、それは子供にとって一種のトラウマになり得ることだろう。

 ハナは「親の裏側を見た気がして」と言った。 その通りだと思う。 子供から見れば、親の裏を見てしまったからこそ、裏表の判断がし難くなり、人間不信になってしまうというケースをよく耳にする。

「仲の良い女友達に話したけど、「よくあることじゃない?」って笑われた」

 「よくあること」で済む訳がないだろう、人の気持ちを考えろ。

 段々自分に腹が立ってくる。 この話をもっと早く聞いてやりたかった、支えてやりたかった。

「それから一番仲良しで、一番信頼できて、一番大好きな人に話したらどうなったと思う?」

 一番仲良しで、一番信頼できて、一番大好きな人?

「良いアドバイスをくれたんじゃないか? 仲も良い上に、信頼できる仲なら」

「残念ながら相手はそう思ってなかったみたいでね、すぐに流されちゃった」

 なんて酷い奴だ。 どんどん胸が熱くなってくる、腸が煮えくり返るとはこのことか。

 が、次の一言で腸は一気に冷める。


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