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幼馴染みの定義
【幼馴染 恋愛小説】

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幼馴染みの定義-2

 再び目にするハナは驚いてしまうほど変わっていた。

「当たり前だと思わない? 人間は成長しつつ変わっていくものだよ。 特に女性はね」

 そんなことをさらりと言って退けたが、首から腹までの部分はやはり変わっていなかった。

「それよりも、暑いから中で話さない?」

 断る理由がない、元々やることがあって来たんだ。 快く首肯し、お邪魔することにした。

 とは言え、前みたいに部屋までは連れてくれなかった。 簡単に男の入室を許可するほど甘くはなくなったということだ。

 少し寂しい気もしたが、たとえそこが八畳半程度のリビングであったとしても、おれの目的は変わらない。

 部屋の静けさを見たところ、親は出掛けている様だが、それすらもどうでもいい。 いてもいなくても変わらない。



「なに? 今日は如何様で?」

 ガリガリと鳴る某アイスを舐めながら問うハナ。

 おれの分も封に包まれたままの状態で出されている。 しかしあえて手は付けない。

「大事な話があるますでございます」

 言葉を発した瞬間、アイスを舐める動作が止まった。

「どうしたの、かしこまっちゃって。 それと水を差すようで悪いけど、今の言葉遣い、敬語のつもり?」

「努力はした」

「そうだね、アイくんにとっては、昔から敬語を使わなきゃいけない相手なんていないし、使う必要もなかったからね。 偉いと思うよ、その努力。 すごく無駄だけど」

 再度、1/3くらい良い具合に溶けたアイスを舐め始めた。

 こういう風に皮肉を織り交ぜて会話をする性格も変わっていない。 昔(子供の時)のおれは手を焼いたが、今更通じるワケもない。

 ここで少しでも動揺した態度を見せてしまうとハナの思う壺なのだ。 とりあえず受け流すのが良い対処法だと、自分は認識している。

「それで?」

「大事な話がある」

「かしこまったの、さっきの一瞬だけだね」

「大事な話があり、ます」

「あは、アイくんこそぜんぜん変わってないじゃん」

 頭の中で瞬時に「1」がゴシック体で表示される。

「いいから聞け」

「はーい」

「おれは」

「うん」

「おれは」

「うん」

「おれは、」

 三度目の「おれは」で言い淀む。 何故だかわからないが、どうしても言い辛い。


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