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けんちゃん
【悲恋 恋愛小説】

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けんちゃん-2

よく見ると健二先輩は慌てて家を出たらしく、デニムのジャケットしか身につけてなかったのにやっと気づいた
『けんちゃん!!そんな格好じゃ寒いでしょ!!!!私のマフラー貸してあげるから ホラ!!風邪ひいたら大変!!』
私はつい健二先輩を昔呼んでた呼び方で呼んでしまった。私が中学校になり先輩後輩の立場が出来てしまい『健二先輩』と呼び方を改めたのだ。
『利江は全然変わってないよなぁ〜(笑)利江ってホント心配性だよなぁ〜!!』
今日会って健二先輩が笑った。健二先輩が笑うといつも顔の形がクシャクシャなるそんな健二先輩の笑顔は私はちっちゃい頃から大好きだった。
『もう…けんちゃ、あっ…じゃなくて!!けっけん健二先輩たらッ』
私は膨れっ面になった。そしたら今度、健二先輩が苦笑いから真面目な顔になり本題を話しだした…
『ごめんごめん実はオレさ?…
利江と同じ中学で利江と同じ学校受験する子で浅野杏奈(アサノアンナ)っているぢゃん?』
たしかに浅野杏奈は私と同じ中学で同じに高校を受験する予定だった。髪が長くてサラサラで可愛くて身長も高い、あととても性格もよく、おまけに成績までよかった。勿論男女共に人気があった。利江はそんな彼女を一目おいていた。だって利江は身長が低く成績は中の上くらいだし、今まで3人に告られたことがあるが、誰も3ヶ月以上持たなかったからである。
『あ〜…浅野杏奈ちゃんのこと?たしかにそうだけど?なんかしたの?』
と私が健二先輩に聞いてみると、健二先輩が言いにくそうこう言った…
『俺…その杏奈ってゆう子から手紙もらったんだ…ラブレターってヤツ?うちのポストの中に入っててて、宛名がN中3年浅野杏奈って書いてあって…
オレ浅野杏奈って子会ったこともないし…ぶっちゃけ知らない人なんだよね…けど手紙読んでみると来年J高校を受験するので、受かったら都心の方に引っ越しますだから悔いが残らないように手紙を出しましたって書いてあって…オレのことこんなに想ってくれてる子がいるんだって思って…なんか付き合ってみたいって気持ちになったんだよね…けど、全然知らないまま付き合うのは…それに……』
健二先輩はそのまま、何も言わなくなって下を向いてしまった。
『…健二先輩すごいね!!浅野杏奈ちゃんだったらうちの学校で一番人気あるんだよwつき合っちゃえば!?』
と私はからかうよう言った。けど健二先輩の返事はなかった。何故か下を向いて黙り込んでしまった。それから10分くらい過ぎ私は健二先輩の顔を覗き込みながら
『健二先輩…?』
と声をかけてみた、すると…
健二先輩は顔を上げた…健二先輩は泣いていた大粒の涙を流していた…。
やっと健二先輩が口を開いた
『利江からそんなこと言われるとは思ってなかった………………………もういい…オレ杏奈って子とつき合うから』
と言って健二先輩は足早に一人で帰っていった…。
利江は健二先輩が考えてることに訳がわからずしばらく一人夜の公園を散歩した…
『なんで泣いてたの?』『私、悪いことした?』『もしかしたら健二先輩に嫌われちゃった?…』
利江は散歩しながら色々なことを考えた…しかし全く考えがまとまらなかった…。時間をみようとケイタイを見てみるとメールが一件受信していた。健二先輩からだった
[さっきはごめん]
内容はただこれだけだったが利江は何故か安心することが出来た。時刻は既に午前2時を回っていた。今日も普通に学校があるので、利江は家に帰って寝ることにした。
翌朝。学校に行く身支度が整い家を出た。うちから学校まで徒歩2分程度である。いつも通り登校していると杏奈ちゃんが歩いていた…私の鼓動が高まった…
その場には私が見る限り私と杏奈ちゃんしかいない。杏奈ちゃんが私の存在に気づき私に近づいてきた…
『おはよう。私と同じ高校受験する利江ちゃんよね?お互い受かるように頑張りましょうね!!』
杏奈ちゃんは微笑みながら私に話かけてきた。私達はこれがきっかけで親友と呼ぶに相応しい程、仲良くなった。登下校も一緒、放課後は毎日、二人で図書室で勉強するようになった。そんなある日、私は勇気を出してあのことについて聞いてみることにした。
『杏奈ってさぁ…つき合ってる人いるの?…』
杏奈の答えは
『…いるよ。高校生だけど』
私の心がざわめいた…心の中できっと健二先輩だって思った。
『…あ杏奈かわいいし彼氏くらいいるよねッ!!アハハ…』
この時、私はやっと気づいたんだ…

 健二先輩が好き

ってことにけど、気づくのが遅すぎた。


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