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「保健室の小さな秘密」
【教師 官能小説】

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保健室の小さな魔法-1

自分のなかに隠れていた感情。
眠っていた熱。
それに気づいたのは、悠と出逢ってから…。


「大変そうですね、沢田先生」
「いやー、推薦受ける生徒の事で頭がいっぱいだよ」
沢田先生は山積みの書類から目を離して笑う。
顔には疲れの色。
三年生の担任も大変だなぁと思いながら、一礼して職員室を後にする。

私の勤務しているこの静涼高校は、進学校で通っているので文化祭が終われば受験ムード一色となる。
そんなわけで、なんとなく職員室だけじゃなく学校の雰囲気自体ピリピリしてるのよね。
緊張感があるというか。

そういえば、悠も少し前に推薦を受けてそろそろ結果がでる頃と言っていた。
将来やりたいことがなんとなく見えてきたらしい。
それが何かは教えてくれないけど。

悠も、あと数ヶ月したらここからいなくなってしまうんだ。
三年生だし当たり前なんだけど…。
そう考えるとやっぱり寂しい。
卒業すれば教職員と生徒ではなくなるから、隠さなくてもいいかと言えばそう簡単にもいかないし…。
まだしばらくは隠さなきゃいけないんだろうなぁ。

…って、悠がいつまで私と付き合ってくれてるかわからないけどね…。


すると、廊下の向こうから聞き慣れた笑い声。
……悠だ。
周りには数人の女の子達。
楽しそうに話をしている。

胸の何処かがモヤモヤする。
なんだか息苦しい。
白衣の胸元をギュッと握りしめた。

これって、もしかしてヤキモチ…?
やだ、ヤキモチなんて。いい大人なのに。
でも。悠には若い子の方が似合うのかもしれない…。

小さくため息をついたあと、私は見て見ぬ振りをして、遠巻きにその場を通り過ぎた。


放課後。
保健室では女の子達が色んな話で盛り上がっていた。今の子も色々かんがえてるんだなぁ…と 興味深い。
こうやって生徒が話に来てくれるのは、少しずつでもこの学校に溶け込めてきている気がして嬉しい。

でも、そんな楽しい時間さえも。
心がモヤモヤして心から楽しめない自分がいる。

「じゃあ帰るね〜」
「気をつけてね」
「は〜い、さようなら」
生徒達はまだ盛り上がりながら帰っていった。


保健室の中に静寂が戻る。
外は茜色の空が広がっていた。
私も帰ろうかと机の上の書類を片付け始めた時。
「やっと帰ったか」
悠が溜め息混じりに保健室の中に入ってきた。

「待っててくれたの、今日は来ないかと思ったわ」
悠がいつもの様に微笑んだ。
「話したい事があって」
言いながら机の横に置いてある椅子に腰掛ける。


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