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僕らの日々は。
【コメディ その他小説】

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僕らの日々は。〜甘い、甘い?〜-3

「しっかしアレだな。うまくできてるよな」
「何が?」
「ほら、バレンタインには『渡すのはチョコ』…っていう伝統があるだろ?」
「それがどうかしたのか?」
「でもホワイトデーには特に返す物に決まりはないんだよなぁ」
「確かにな。ホワイトデーには何を返してもいいワケだ」
「おまけに誰が言い始めたのか知らないけど『三倍返し』なんていう風習まであるし」
「ま、確かにお返しの方が何かと高くつくもんだよな」
「そういや三倍返しっていえばさ………」


――そんな感じで、2月13日は過ぎていったのだった。

▼▼

そして、2月14日。

男子がやたらと机の中をさぐる日が、今年もやって来た。


……まぁ、だからといって学校が休みになるワケでもなく。
今日も僕はいつも通りの時間に登校している。

「ま、所詮は外国の話だしな……」

それにだいたい、本来なら男性が女性に愛を伝える日だったはずだ。
現に日本以外では今でもそのはずである。

「某チョコ会社の陰謀、ね……」

まぁでもそのおかげで、この日の日本経済が一時的に活性化すると考えれば、あながち陰謀とも言えないか。
そんな事を考えながら歩いていると、いつの間にか一葉の家に着いていた。

「おーい、一葉。行こうぜー」

いつものようにインターホンに声をかける。

しかし、返って来た返事はいつもと違うものだった。

『ごめーん春風!寝坊した!先に行っててっ!』
「待っとこうか?」
『ううん、いいわ!時間がかかりそう。先に行ってて!』
「オーケイ。それじゃまた後でね」

一葉が寝坊するとは。珍しい事もあるものだ。

まぁ本人もああ言ってることだし、先に行くことにしよう。


――結局、一葉は僕の10分後に学校に到着した。

▼▼

その放課後。

僕は一葉と家路を辿っていた。

「……ホント、誰が言い始めたのかしらね?」
「何がさ?」
「あれよ。『手が冷たい人は心が暖かい。手が温かい人は心が冷たい』っていう完全な迷信よ」
「確かによく聞くよね、それ。なんの根拠もない割にはさ」

こんな風にいつも通りの会話である。


ちなみに、チョコはまだ貰えていない。


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