投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

やっぱすっきゃねん!
【スポーツ その他小説】

やっぱすっきゃねん!の最初へ やっぱすっきゃねん! 107 やっぱすっきゃねん! 109 やっぱすっきゃねん!の最後へ

やっぱすっきゃねん!U…B-1

「あの…今日はちょっと用事があってさ。オレ、抜けるから」

給食後。直也はすまなそうに有理に話掛けた。いつもは佳代と2人、数学を教えてもらっているからだ。

「抜けるって、何処に…?」

「あの、ちょっと……」

有理の問いかけに、直也は曖昧に答えると教室の出口に向かう。
その姿を佳代が追っていくと、廊下に直也を待つ者がいた。

山下達也と橋本淳だ。

3人は固まって何かを打ち合わせると、やがて廊下を歩き出して佳代の視界から消えた。

「アッ!!」

頭にある事が浮かんだ佳代は、弾かれたバネのように席を立ちあがり、

「ゴメン!ユリちゃん。私も用事思い出した。明日にして!」

佳代は、両手を合わせて頭を下げると、直也達を追うように教室を飛び出した。

「…何なの?」

ひとり残された有理はポカンとした顔で、2人が消えた方向を眺めていた。



「じゃあ、まず2年から行くか。土田と菅野……」

「後は、6時限目の休み時間も使って1年を回るんだな?」

「そうだ」

山下が、部員名簿をチェックしながら直也と淳に伝えていた。

すると、

「ナオヤーー!!」

ひときわ高い声が廊下に響く。
直也は、背後から聞こえた声に顔をしかめる。

(…クソッ、ついて来やがった)

「説得に行くんでしょ?私も入れてよ」

参加を申し出る佳代に対し、達也と淳は驚いた様子で、

「…だってオマエ、勉強が忙しいからダメだって……」

「それ、いつ?」

「いつって、さっき直也が……」

みるみる顔色が変わった佳代。腕組みをして直也の前を遮るように立つと、

「何、自分勝手に決めてるの!!」

直也は苦笑いを浮かべ、

「イヤ、オマエは数学憶えるのが忙しいだろ?だから……」

「私より点数悪いヤツに言われたくないね!」

声を張り挙げ、思いっきり悪態をつく佳代。直也は怒り出したい心境をグッと堪え、

「…あまり大人数で行って事を荒立てるのは良くないだろ?だから、他の2年も呼んでねんだ」

(ヨシッ!説得力有る言い分だ。これでコイツも引っ込むだろう)

だが、直也の思惑は外れた。


やっぱすっきゃねん!の最初へ やっぱすっきゃねん! 107 やっぱすっきゃねん! 109 やっぱすっきゃねん!の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前