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冷たい情愛
【女性向け 官能小説】

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冷たい情愛10-8

お菓子の棚には、新商品がたくさん並んでいる。
昔は…毎日のように見つけては、先生に自慢しに行っていた。
そんな子どもじみた私を、先生はいつも笑顔で見ていてくれた。

お菓子を手にとった私は、ふとその頃の先生の優しい笑顔を思い出していた。

きっと先生は今頃…
可愛い我が子にねだられて、お菓子を買ってあげているのかな…
優しい父親になっていることだろう…

私は、少しだけ切なかったが…
その後すぐに笑顔になれた。

「遠藤さん、このお菓子、新商品…」
私は彼に話しかけた。

彼は私をじっと見つめていた。
切なそうな…でも優しい目…先生と同じ目…だ。

同じだけれど…私はもう、遠藤さんを見ることが出来ている。
だって、遠藤さんがそこに居ることが嬉しかったから。

「こんなにお菓子を買ったのに…まだ買うんですか?」
遠藤さんはカゴの中を指差した。

「いいんですよ〜。お菓子美味しいんだから」

私はわざと拗ねてみた。
彼は、ほんの少しだけ笑ってくれた。


・・・・・・・・・


彼の部屋に戻り、買ってきた食べ物とお酒を机に広げる。
まるで大学時代、友人の家で騒いだ頃のようだ。

私は、どんどんビールの缶を空けていく。

「設楽さん…ペース速いですよ」
少し心配そうに、彼は言うが…私はそんなことお構いなしだ。
更にペースを上げる。

「遠藤さん〜なんで私の事…知ってるんですかあ?」
「仕事で会ったのなんて、半年前位ですよ〜ねえ?」

彼は、嫌そうな顔でも困った顔でもなく…
相変わらず冷静なままお酒を口に運んでいる。

まずい…頭が回らなくなってきた…
普段、仕事で抑圧している分、こうなるとタチが悪いのか…

「遠藤さ〜ん…彼女がいるのにいいんですかあ?」

「彼女が居ると言ったことはないでしょう?」

彼は少しだけ困った顔になった。
もっともっと、困らせたくなった私。彼のいつもの冷静を崩してやりたくなった。

「ペンギン…大切そうに持ってるじゃないですか〜」

「ああ、あのぬいぐるみですか…」

「大切な人に貰ったって言ってたもん」

「私の片想いだったんですよ」

遠藤さんが片想い…なんだか意外な気がする。
確かに冷たい印象が強いが、その奥には優しさがあると私は思うから。
若い子から見れば、魅力的だろうに…。

でも少し嬉しかった。
今、彼に恋人はいないという事実。


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