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飃(つむじ)の啼く……
【ファンタジー 官能小説】

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飃の啼く…第21章(後編)-14

「密室のミステリーね。」

そして、自分は何もしていないとでも言うように冗談ではぐらかす。追求されるのを好まない茜に、私はただため息をついて笑うだけ。



洞窟には、澱みのいた痕跡すら残っていなかった。私たちが出口に出ると、外の世界では一日が巡って再び朝を迎えていた。

いきなりの光に目をしばたく私たちを、飃と風炎、南風さんと青嵐の四人が待っていた。

肩から血を流していた茜に風炎が駆け寄って、柄にもなく取り乱しているので、つい笑いそうになる。茜が照れくさそうにあしらうのを見ると、余計におかしいので、私は飃のほうに歩いて行った。

「ただいま。」

「遅いお付きだな。」

私の、未熟な剣術にきっと死ぬほど心配したんだろうけど、そんなことを感じさせない口ぶりで飃がいった。

「七星は力になってくれたか?」

「うん…だいぶ慣れてきたかな。」

洞窟の中で危ない目にあったことはいわないで置こう。せっかく勝ち得た飃の、私の腕に対する安心感を失いたくなかった。いま、一年前のようにスイカを投げられたら、綺麗に切れるかどうかわからないし。

飃が、夏を目前に控えて鋭さを増した日の光に目を細めた。吹き渡る風は青葉を翻らせ、緑を躍らせている。そして、傍らの私を抱き寄せて、やさしく頬を撫でた。

「17歳の誕生日…おめでとう、さくら。」

「え?」

すっかり忘れていた。今日は…

「今日って、五月十四日?」

飃がうなずいて、私の手を取った。風が優しく髪を梳いて、体中が綺麗な空気に満たされたような気がした。

「去年の誕生日から一年かぁ…。」

自分でも不思議な気がする。もう何年も、こういう戦いを続けてきたような錯覚をしていた…そして、それよりもずっと前から、彼と一緒に居たような気がする。

「なんだか凄く老けちゃったような気分…」

感慨深いため息混じりに、私が言って体中の力を抜く。飃に寄りかかると、悪戯っぽい目が私を見下ろしていた。

「己なら“成熟した”という言葉を選ぶがな。」

「なーんかやらしい響きだなぁ…」

そういう私の腰を、飃の手が滑るように撫でた。

「お前がそう思うならそうなのだろう。」

そして、のどの奥で低く笑った。不意に、飃の体温が、肌触りが、凄く恋しくなって彼の目を見る。おでこに軽く落とされたキスだけで、私の身体の奥がぞく…と震えた。

「暇を告げよう。これ以上の我慢は身体によくない。」

私が赤くなる前に、飃は青嵐に声をかけていた。



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