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『my dream』
【青春 恋愛小説】

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『my dream』-2

俺はあれからグループ研究をした奴らとよく行動を共にするようになっていた。伸輔の望み通り、俺たち四人は講義の終わりにカラオケに行ったり、飲みに行ったり、空き時間にはいつも行く喫茶店で談笑したりの毎日だった。つまり、こんな俺にも本当の友達ができたということだ。そしてその中に彼女はいた。彼女の名前は神村香苗。彼女は今、大学生と同時に歌手もやっているらしい。そんな人がいて、何故騒ぎが起きないかと不思議だったが、彼女はまだ出始めで目立った活動はまだしていない、とのこと。しかし、誰からも好かれる明るさと優しさから彼女は学内のなかでも人気があった。中でもやはり、男性からの人気が高かった。伸輔も最初はかなり積極的にアプローチしていたが、亜由の妨害もあり、あまりうまくいっていないようだった。そんな彼女から俺は“直くん”というあだ名で親しまれた。また、彼女は俺を年下のように扱い、時に「かわいい」などという理由で頭を撫でたりすることもあった。そんなことから、俺は多くの男性から反感を買うことになったのだが、こっちとしてはいい迷惑である。また、彼女は俺が海外にいたことを知った頃から伸輔たちとカラオケに行ったときや飲んでる時などに、どこかれ構わず、俺を捕まえては二人きりになっていろんな国のことを聞いた。いくら二人きりにならなくてもと思っていたが、彼女には聞けずじまいだった。



そんなある日、家に帰ろうとした俺は校門で待ち伏せしていた彼女に捕まり、大学の中庭にあるベンチでまたいつものように質問攻めにあっていた。その日は急に何だかこちらからも聞きたくなった。彼女になぜこんなことをするのかを。それに聞き出されるばかりだと何だか損をしている気もした。一人暮らしだからか、貧乏性になっていたのだろうか…。
「ねえ、一つ聞いていい?」
「ん?何?」
「あのさ、何で他の国の事が知りたいわけ?地理や歴史を専攻してるわけでもないのに。それに伸輔たちといる時だってわざわざ二人になるし…」
彼女は少し躊躇したようで、顔を俯かせ、しばらくして俺に聞き返した。
「絶対笑わない?」
彼女の顔は今までになく真剣だった。俺が答えると、彼女はゆっくりと話し始めた。
「世界中でライブをしたいんだ。世界中の人達に私の歌を聞いてもらいたいから。今はまだこんなだし、家族や先生からはさすがにそこまでは無理だろうって言われ続けてきたんだけど…私なんかでも頑張ればできるんじゃないかって思うんだ。何の根拠もないただの強がりかもしれないけど、それが私の夢だから。夢を持つ事ってすごく大事だと思うんだ。夢があるから頑張れる。人ってそんなふうにして生きていくものだと思うんだ。だから夢を持つ事の大切さを私の歌に込めて世界中の人に伝えられたらいいなって思ったんだ。そのためにはまず、いろんな国のことを勉強しておかなきゃいけないと思ったんだ。あとは…あ、まあ二人っきりの方が話聞きやすいな〜って思って。」

すごいと思った。俺はこの年までの間にいろんなものを見てきた。海外の大学にも通って、語学、経済のことなんかを学び、今ここにいる。しかし彼女のように、ここまで自分の将来の夢について考えたことはなかった。彼女は俺のように飛び級して学校を卒業したわけでもなく、この国で普通に生きてきただけである。それなのに、はっきりとした夢を持っている。

「直くんは?」
「え?」
「夢とかないの?」
「ああ、うん…ないね。」

でもこの時の俺は彼女に共感することはなく、むしろ正反対の考えだった。夢? 何だそれ? って感じ。どんな人もいつかは死を迎える運命にある。死ぬまでの間に夢を叶えたところで特別寿命が延びるわけでもないだろう。なのに、どうして彼女は夢を叶えようとするのだろう。この時の俺には到底理解できなかった。


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