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「ETERNAL」
【悲恋 恋愛小説】

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「ETERNAL」-1

朝、大きな目覚ましの音で目が覚める。私は夢うつつに、今日もまたなんの変わりもない、退屈な一日が始まるのだと感じる。


私はまず、その耳障りな音を消した。それからベットを出て、洗面台の前に立ち、学校に行く支度をして、いつもの様に車に乗った。

(なにも、変わりない。これから私は車を走らせて、大学で授業を受けて、またこの家に帰ってくる。いつもと、同じ。)

私は、毎日がとても無意味に感じられて、思わず溜め息をひとつ、こぼした。

お気に入りの曲をかけて、大学へ向かう。

いつもの道。赤信号。
私は車をとめる。向こうからは大きなトラックが走ってきている。
今、あれにおもいっきり突っ込んで行けば私は終わりね。
(そう、退屈な毎日を終わらせることができるわ。その先に何があるのかは解らないけれど。)
つい、足に力が入る。アクセルを踏んでしまいそう。
いってしまおうか?

あぁ、私は何を馬鹿な事を考えているんだろう。
なんて愚かなのかしら。
(結局いかないくせに。結局自分が1番かわいいのよ)
あぁ、なんだか頭が痛くなってきたわ。

私は大学に行く道から外れ、病院へ行くことにした。どんどん頭は痛くなる。

数分走らせるとすぐに病院に着いた。
この辺の街では1番大きな病院。
私はもう頭が痛くなくなっていた。精神から来るものなのかしら?ならいっその事、カウンセリングでも受けてみようか…。
しばらくの間、そんな事を考えていた。すると病院の方から若い男がこちらに向かって走っくる。知り合い?いいえ、私は知らないわ。
男が車に乗り込んでくる。え?何?一体この人は誰なの?
「!?一体なんなの?!」
『さっさと車を動かせ!』男はまわりをキョロキョロ見回してる。
『おい、動かせ!』
そう言うと私に銃を突き付けた。
「えぇ、今動かすわ。」

私たちは病院を出た。
これから何処へ行くのかしら。
「ねぇ、どこへ行けばいいの?私、これから大学に行かなくちゃいけないんだけど」
彼は銃を私に向けたまま答えた。
『とりあえず、ずっと北に向かって走ってくれ。それと、大学は諦めろよ。あんた今の状況が解ってんのか?』
彼はそう言って笑った。
えぇ、解っていますとも。今日はいつもと違うってことは。
『腹減った。あんた何かもってないのか?』
この人何を言い出すの?
「サンドイッチならあるわよ。そこのバックの中。全部あげるわ。」
彼は私のバックからサンドイッチを取り出して食べ始める。それでも私には銃を向けたまま。
「ねぇ、お願いだからその銃をしまって。私は逃げたりしないわ。
気がおかしくなりそう。」
『あぁ、悪いな。ところで、あんた名前は?』
「ジェーンよ。」
『ジェーンか。いい名だな。俺はブランドール。ブルーでいい。』
変わった名前。
「OK…ブルー、年はいくつなの?」
『あぁ、18だ。』
どうりで。
「家族は?」
『いるさ、兄貴二人とお袋はブタ箱。姉貴は精神病院。親父は遠い昔に死んだ。』
…。短い沈黙。
『で、俺はついさっきから誘拐犯ってわけだ。』
彼は白い歯を見せて笑った。誘拐犯らしからぬ誘拐犯。妙に明るくて全く悪気が感じられない。
「でもどうして誘拐なんかを?」
『俺あと半年で死ぬんだ。どうせ死ぬならあんなクソ病院なんかで死にたくねーからさ、あるだけ薬盗んでどっかに逃亡って訳。』
彼はさらりと言った。
『生きていられる生きていられるって言ってたと思ったら急にあなたの余命はあと半年です。だぜ?ふざけやがって』
「そう…」
「で?どこへ行けばいいの?」
『ずっと北に。建物が無いような所で降ろしてくれればそれでいい。あとは自分で勝手に行く。』
「どうしてそんな所へ?」
『ほら、あの山見えるだろ?俺はあの山で死にたい。』
緩やかで、高い山を指差して彼は言った。
『俺がガキの頃に一度だけ家族とキャンプに行った所なんだ。まだ親父も生きててお袋も薬に手を出してなかった頃だ。』
「…。」
『それに…、俺は自然の中で死にたいし。』
自然って言葉が彼の顔に似合ってなくて、私は思わず吹き出してしまった。
「自然っていうよりは大都会の方が合ってる。」
『うるせーよ つーか、あんた笑えんじゃん。』
「え?」
『最初死んだ魚みてーな目してた。』
そりゃあそうでしょうね。トラックに突っ込もうとしてたんですもん。
(でもそんな事彼には言えない。)


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