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Kaleidoscope kurebaiiyo
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Kaleidoscope kurebaiiyo-5

「会いたかったー!! メールだけじゃヤだから来ちゃった」
「あ……あぁ」
 びっくりして反応が鈍い俺をキッと睨む。
「嬉しくないの? もしかして、新しい学校で……」
「環、どなた?」
天梨が奥から出てきた。俺はなぜか慌てて、
「あ、ちょっと出掛ける、昼食べてくるから」
と、瑠禾と共に外に出た。
「お姉さんに紹介してくれないの?」
「や、それは恥ずかしいって」
天梨たちと住んでいることは、瑠禾にはもう話していた。
「腹減ってない? なんか食べに行こ」
とりあえず話題を変えるため誘ってみる。瑠禾は不貞腐れながらもついてきた。

「あたし、遊園地行きたい!!」
家の近くのレストランで、運ばれてきたスパゲッティを前にいきなり言い放った。
「今から?」
「まだお昼だよ」
「そうだけどさ」
「じゃあ……」
言葉を区切って、含み笑いをする。
「今晩泊めて。それで、明日連れてってよ」
「え」
「もちろん、お姉さんにも紹介してね」
まだ忘れたわけじゃなかったみたいだ。
「えっと、俺の部屋、弟と一緒なんだけど」
「だってやっと会えたんだよ? ホテルとかに泊まったら、離れてる時間がもったいないじゃん」
数分押し問答が続き、瑠禾の強引さに俺が折れた。嶺には友達んちに泊まりに行ってもらおう。


夕飯は鍋だ。水鳥と野菜の塩味で、俺の好物。
天梨に瑠禾を紹介すると、
「ミス3位の子だよね、知ってる。よろしくね」
と、普通に笑っただけだった。
天梨がテーブルに食器を並べている。でも、嶺はさっき連絡したからもう今日は帰らないし、天梨と弥玖さんと瑠禾と俺だけのはずなのに、5人分の皿と箸が用意してある。
「なんで……」
ピンポーン
「あ、あたし出るね」
理由を聞こうとしたら、チャイムが鳴って天梨が行ってしまった。
そしてリビングの扉が開くと、天梨に続いて見知らぬ男が入ってきた。
「この人、舜祐。大学同じで、今付き合ってるの」
天梨が紹介する。は?
「伊達舜祐です。お姉さんとは同じゼミで」
わざと礼儀正しくふるまっているようで、顔がニヤけている。
 俺は馬鹿みたいにそいつを見つめてた。こいつが彼氏? 天梨の?
「てゆうか、そちらの可愛い子誰?」
となりにいた瑠禾が小さく会釈する。
「環の彼女ー。高校のミス3位なんだよ」
キッチンで支度を再開した天梨が答える。
「あー、弟くんのかー」
俺は勢いであげそうになった腕を、精一杯押さえ付ける。そうでもしないと、今にもこいつにつかみかかりそうだから。
いきなり来て、天梨の彼氏ってなんだよ。しかも俺は弟じゃない。なのになんで天梨も否定しないんだ?

 瑠禾が俺に話し掛ける。でも俺の返事は全然気が入っていない。
 弥玖さんが一人で黙々と食べてる。この状況じゃ気まずいかな、悪いことした。でもそれもどうでもいい。
天梨があいつに鍋の具をとってやる。あいつと話して笑う。俺はそれだけが気になって、あんまり見ないようにしてても、いてもたってもいられなくなる。二人が俺に話し掛けてきて、俺が話に加わらなくちゃならなくなって、今の最悪な気分がバレないうちに瑠禾を誘って部屋に戻った。


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