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Kaleidoscope kurebaiiyo
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Kaleidoscope kurebaiiyo-3

「ねぇー、今の誰?」
明らかに不快感の交じった声だ。慎治達もわらわらと集まってくる。
「再婚相手の、連れ子」
言った途端、驚きの声があがる。
「キレーじゃん!!」
「お前姉ちゃんできたなんて一言も……」
「姉弟なら安心だぁ」
瑠禾がほっと胸をなで下ろしてみせる。
「姉弟じゃないけど、むこうが俺と仲良くする気全くないから。そこは安心してもらって構いません」
瑠禾に言うと、可愛く笑う。
瑠禾は今年の一年部門のミス3位だった。全体的にふわっとした感じで、髪も柔らかくウェーブがかかっていて、近づくとふわっといい匂いが香る。言動も天然入ってて、そこが人気のあるとこでもあった。
最近は、家にあまり帰りたくないから、毎日のように瑠禾の家に行く。家以外では人並みに幸せだった。


親父と彰子がキモい。
 二人の世界が出来上がっている。あとの4人なんて、本当に空気だ。
親父の前の妻もそうだったけど、あの時は親父が冷めてた。でも今回は親父も一緒になってる。
加えて、天梨とも弁当の時以来全く話していなかった。といっても、今は受験の追込みの時期らしく、休みの日も図書館などに行っていてほとんど家にいなかった。
志望校がどことが、そんな事は知らなかった。センター試験はこの前終わったみたいだけど。
日曜の昼、そんなことを考えながらリビングでぼーっとしてると、親父達が映画から帰ってきた。
「いい映画だったわねぇ。感動しちゃった」
相変わらずソファーに座っている俺には見向きもしない。
「そういえば、天梨、東京の大学に行くつもりなんですって」 思い出したように、彰子が言った。
「天梨ちゃんが? 頭がいいんだね」
「勝手に決めちゃってたのよ。一人暮らしなんて、お金もかかるのに」
ちょっと待て。天梨が東京の大学を受験!? 受かったら一人暮らしって事は、俺らだけ残されるってこと?
その晩俺は勇気を出して天梨に聞いてみた。
「あの……東京で一人暮らしするって本当ですか?」
天梨が目を丸くしている。俺らの部屋の前の廊下だった。
「受かったらね」
「……ずりぃ」
「え?」
「妹とかどうすんの? 置いてくの、この家に?」
天梨は心底驚いたというように少し黙ってから、口の端を持ち上げて言った。
「弥玖じゃなくて、あなたが出たいんでしょ」
今度は俺が黙った。
「いたくないよね、こんな家。だから出るの」
「……俺たちは?」
自然と口をついた。なんとかしてほしかったから。
天梨は軽く笑って、一言。
「あなたたちも来ればいいよ」
天梨の背中から後光が射して見えた。まさかそんな案を出してくれるなんて。

同じ立場なんだ。俺と天梨。互いの嫌気を分からないはずがない。

細長く、つるりとした青いガラスの一輪挿しに、赤紫色のカラーを一本飾る。これからは、毎日花を絶やさないようにしたいな。枯れたら新しいものを買ってきて。
次は食器類、と瀬戸物の入った段ボールを開けようとすると、ドアが開いて環が入ってきた。
「この家、リビングは広いのに、なんでまた嶺と同じ部屋なの?」
新しい家の間取りが気に入らないみたいだ。
「これがマンションってもので、それが東京ってものなの」
「うわー田舎くせー。東京だって同じ日本なんだよ!」
言い放ってまた部屋の片付けにいく。


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