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消せないキミ
【悲恋 恋愛小説】

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消せないキミ-1

霞んでゆく記憶のなかに、キミの姿が映っている。
さよなら、さよなら、間違いだらけだった僕達。

《消せないキミ》

静かな川の流れのように、穏やかに時は進んでいた。何一つ、失って後悔したものは無かった。
キミを連れ去ったんだ。親からの反対を押し切って、僕らは家を飛び出した。冷めた身体を温めあった。抱き締めて、抱き締められて、孤独が埋まる。誰も僕を知らない。キミを知らない。そんな町で手を繋ぎ、幸せな暮らしを続けた。

コレが最初の間違い。
季節は…そうだね、春だった。優しい微風に花の香が運ばれている。とても美しき、季節だった。となりにはキミがいた。キミは舞い降りてきた桜の花びらを掴み、こう言った。
『桜の花びらを地面に落ちる前に掴んだら、願い事が一つ叶うんだよ』
…と。
夏になり、キミは身体の異変に気付く。
秋になり、別れを医師から宣告される。衰弱しだした姿に、僕は少し目を逸らした。
コレが次の間違い。
そして冬、キミはいなくなる。震える身体、二度とキミの体温を感じ、温まることはない。
また、春へと季節は移る。
舞い散る桜の花びらを、一枚とって願っても、二枚とって願っても、願いが叶うことはなかった。キミは返らない。僕の元に返らない。


記憶が霞んでゆく。全てを消し、僕は新しくなるんだ。
新しくなるはずなのに

…どうしてキミが消えないの?


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