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飃(つむじ)の啼く……
【ファンタジー 官能小説】

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Dawn-5

「んだよ…偉そうに…。」

「あとどのくらいで着く?」

当たり前のように自分を使役する女は、確かにあの怪物とまともにやりあえるだけの力を持っているようにも見えた。だが…同時に、隠しきれない弱さも感じさせた。

「15分てところだ!」

何故だろう。本当に何故だかわからないが、大和はこの女の事が気になった。

「10分で着け!」

大和は、ふ、と笑った。

「何がおかしい?」

女の声が、背中から伝わってきた。険悪な声だったが、不思議ともう、怒る気にはなれなかった。

「12分だ。12分でつれてってやる!」

そして、アクセルを回して、夜景は流星のように後ろへ流れていった。さくらを背負って全速力でここまで来た披露がまだ足に残っていなければ、イナサはこれよりはるかに早く走ることが出来ただろう。それでも、この光景が、今自分に深い感銘を与えていることを、認めないわけにはいかなかった。



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―狗族らしく育てよ、イナサ…

それが彼女の父の口癖だった。美しく、強くあれと。

飃や他の子供たちと河原で遊び、泥で汚れて帰った日のことを、彼女は良く覚えていた。近くの村の人間の子供と混ざって、くたくたになるまで遊んで帰った日のことを。

「馬鹿もん!」

一度も手を上げたことの無かった父が、その日だけは炎のように怒った…その日から、イナサは人間を遠ざけるようになった。

―私は狗族だ。人間とは住む世界が違う。



そして、皮肉にも、イナサの村を蹂躙した澱み、それを率いていたのは人間だった。父の言ったとおりだ。人間は残酷で、浅ましくて、狡猾で…何より恐ろしい。この世の何よりも、ただ恐ろしい。



++++++++++++++



「ねーちゃん!」

回想から引き戻したのは、大和の声だった。

「なんだ?」

「お前…そういえば、あんなでかいのとどうやって戦うつもりだ?なんか持ってんだろうな?」

武器はあった。一応、必要になるかと思って、一振りの太刀を持っては来ていたのだが、先ほどの戦いで折れてしまったのだ。イナサは首を振った。

「そんなことだろうと思ったぜ…いいんだ、俺がいいところに連れて行ってやるから!」

偉そうな口ぶりに、イナサは男の服をぎゅっとつかんで反論する。


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