投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

やっぱすっきゃねん!
【スポーツ その他小説】

やっぱすっきゃねん!の最初へ やっぱすっきゃねん! 88 やっぱすっきゃねん! 90 やっぱすっきゃねん!の最後へ

やっぱすっきゃねん!U…@-4

「…あのよォ」

再び直也が声を掛ける。

「…お前…課題終わったか?」

話題の変化に意味が分からない佳代。

「なにそれ?」

直也は困った顔で、

「…いや…お前は終わったのかな…と…」

「とっくにね。アンタ、まだなの?」

「…それが、まだ半分も出来てない」

さすがに佳代は俯いていた顔を上げると、

「ばかぁ?やる気あるの」

いつもなら悪態をつくところだが、直也は困った顔のままだ。
そんな姿を見て、佳代はため息を吐くと、

「見せてあげるよ…」

「ほ、ホントか!」

直也は、思わず手をすり合わせて頭を下げる。

「1日には持って来てよ」

「分かってる。すまない」

直也は佳代の自宅へとついていった。駐車場の隅に自転車を置いて、荷物を抱えると〈ちょっと持って来るから〉と玄関前に待たされた。

中からドタドタと階段を上がる音が外に聞こえてくる。

(アイツ、女の階段の上がり方じゃねえな)

などと思いつつ直也が待っていると、再び佳代が現れた。

「はい。これ」

手には数冊の課題が握られていた。

「スマン」

直也が受け取ると、

「アンタ、課題もだけど実力テストもすぐにあるよ」

「エッ!」

初めて聞いた、という顔で驚く直也を見て佳代は呆れた口調で、

「言ってたじゃん。休み明けすぐにやるって…」

肩を落とす直也。これから先の事を考えて、しょげかえっている。
だが、佳代はそんな事おかまい無しに〈じゃあ1日にね〉と言って玄関ドアーを閉めてしまった。

「はあ…」

ため息を吐きながらトボトボと帰ろうとする直也に、佳代は2階の窓から声を掛ける。

「ナオヤーッ、有理ちゃんに教えて貰ったら?」

直也は顔を赤らめた。

「ウルセエ!」

一言悪態をつくと、走って帰ってしまった。

(…可愛くないヤツ……)

佳代はニヤニヤと笑いながら、走り去る姿をしばらく眺めていた。


やっぱすっきゃねん!の最初へ やっぱすっきゃねん! 88 やっぱすっきゃねん! 90 やっぱすっきゃねん!の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前