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DEEP DIVER玲那〜闇に沈みし者〜
【ファンタジー 官能小説】

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DEEP DIVER玲那〜闇に沈みし者〜-35

「やばいな。ダイアナ、この空間から脱出するんだ」
 緊張した両者の間に不穏なものを感じた葵はダイアナにそう促した。
「だ、だってこのまま玲那ちゃんを置いては…」
 逡巡するダイアナ。しかし次の瞬間、魔神と玲那が火山の噴火もかくやと思われる物凄い怒号を上げ、亜空間に亀裂が生じた。
「ちっ、来やがった!早くしないと空間の崩壊に巻き込まれるぞっ!!」
 耳を押さえて叫ぶ葵。月狼は慌てて空間の亀裂に魔法陣を叩き込み、崩壊に乗じて現世へと飛び出した。

 玲那とトゥモヒクオの雄叫びによって飛騨が作り出していた亜空間が消滅した。気が付くと玲那は学校の校庭に立っており、トゥモヒクオもまた無傷で玲那に対峙していた。
 見上げれば上空には巨大な月輪。月の傍らに葵と奈々花を抱いた月狼の姿を認め、玲那は内心安堵の溜息を洩らした。
『オ前ガコノ地ヲ治メル神カ?』
 ふと、トゥモヒクオが玲那の頭に直接語り掛けてきた。露骨に顔をしかめる玲那。
「神様なんて上等なものじゃないわ。だけど、あなたの敵であることには違いないわね」
 そう言って、挑戦的な目を向ける玲那。
『面白イナ。凝ッタ人ノ邪念ガオ前ノ中ニアル。ソノ意識体ガオ前ノ身体ヲ変貌サセテイルノダナ。ダガ、邪念ヲ押サエ込モウトスル霊力モ僅カナガラ感ジル…』
 そう言って玲那を分析する魔神。的確な分析だったが、それが却って玲那には面白くなかった。
「あれこれ勝手に人の事を分析するなっ!!」
 オロチミタマの影響で感情が制御できない玲那は、激高して魔神に飛び掛かっていった。『傲ルナッ!人ノ身ノ分際デ神ニ敵ウモノカ!!』
 しかし、魔神は一喝すると玲那の顔目掛け、灼けつく毒霧を吐き出した。
「うわっ!?」
 咄嗟に両手で顔を庇うものの、玲那の腕はじゅうと音を立てて焼け焦げる。
 続けざまに粘液を吐きかける魔神。緑色の粘液は玲那の身体にべっとりとまとわりつくと、その自由を奪った。
『何ヲドウシヨウト所詮人ハ人。人ナドハ所詮我等大イナル神ノ糧トナル運命』
 トゥモヒクオはそう言って踞る玲那を蹴り上げた。くぐもった悲鳴を上げる玲那。
「…そうやって飛騨も喰い殺したわけ?」
 呻きながら、魔神に質す玲那。その言葉をトゥモヒクオは悪し様に嗤った。
『飛騨?アア、アノ男カ…。奴ハ永遠ノ命ヲ欲シテイタ。ダカラ我ノ血肉トナリテ永劫ヲ生キラレルヨウニシテヤッタノダ』
「自業自得ってやつね。だけど…」
 玲那にまとわりついていた粘液から木の芽が吹き出した。そして木の芽は粘液を滋養とするかのように成長し、粘液は見る間に水分を失い、乾いた泥のようになって崩れ落ちた。
「だけど、人間だろうと神様だろうと、誰かを犠牲にして許される者なんていやしないのよっ!!」
 玲那の叫びに呼応するかのように、地面を割り、無数の木の根が這い出してきた。
『な、何だこれは?』
 僅かに狼狽した声を上げるトゥモヒクオ。しかし、いくらもしない内に木の根は捩り合わさり、何本かの太い杭となって悪神の手足を刺し貫いた。
『グアアアアアアッ!?』
 苦悶の悲鳴を上げる太古の魔神。
「往生…」腰を低く落とし、身構える玲那。「…しなさいっ!!」
 次の瞬間、固く握りしめられた拳が砲弾のように打ち出され、魔神の鳩尾を刺し貫いた。
『莫迦ナ、タカガ人間如キニ』
 断末魔の呻き声を洩らすトゥモヒクオ。魔神の身体は見る間に干からび、やがて音も無く崩れ落ちる。

 数日後、芳流閣高校の校庭には地鎮祭の為の櫓が建てられていた。トゥモヒクオが滅びた後の汚穢を祓う為に鎮魂機関が手配したものである。他国の神人に日本の地鎮祭がどれほどの効果があるか分からないが、残留する霊障をそのままにはしておけない。もっとも、清めは既に玲那が行っているのだが。


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