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飃(つむじ)の啼く……
【ファンタジー 官能小説】

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飃の啼く…第20章-12

「とろりとろりと しむる目の かさのうちよりしむりや 腰が細くなり候(そろ)よ」

その場にいた狗族はどっと笑い、私は何が何だかわからずに、ただカジマヤだけが、ウミカジと飃に小突かれていた。

そのあと、幾つかの歌が歌われ(そのうち、あまりに会場の爆笑を誘ったものについては、飃は意味を教えてくれなかった。)

さっきの神楽で綱渡りを披露した狸狗族の  御祭が、立ち上がった。すると、四方八方からお囃子の声が上がる。仮面をつけてない彼は、いかにも人好きのする中年の男狗族だ。彼が手で拍子を取ると、周りも一種になって手拍子を始めた。



「人外の 身の性来(せらい)を引くからは

 心に心、心して見よ 人の子よ



そこの四辻 左にまがれ

すっくと立つのは何者ぞ



その手に持つは酒瓢箪(さけびょうたん)か

ならば狸の類じゃろ 

狸はとかく酒狂い

囃子の一つ聞かせれば

宵の肴に腹鼓(はらつづみ)



それとも狐の類なら

眉唾つけてえいと見よ

人を馬鹿すは狐の性よ

夜鷹(よだか) 花魁(おいらん)

項(うなじ)の白き

たちまち強毛(こわげ)に様変わり



暮れの六つの夕暮れ時に

喧嘩は売るな 売られるな

血の気の多い狼が

化けたものなら一大事

気位(きぐらい)高く 人嫌い

喉笛隠して迅(と)く逃げよ



呆けた調子の三線囃子

合いの手入れりゃ夢の跡

シーサー(獅子)の宴に参るなら

片手に酒と風車

眼鏡も無けりゃ 見つからぬ

陽気な獅子は小さき民よ


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