投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

甘辛ニーズ
【コメディ その他小説】

甘辛ニーズの最初へ 甘辛ニーズ 38 甘辛ニーズ 40 甘辛ニーズの最後へ

甘辛ウィルス-7




 ───現在時刻、月が見える空。

 冷風が顔に当たる度に激痛が現れる。

 あの女、今に見てろよ…!



 将太に用事ができたと知った時、俺は約束を打ち切りすぐに行動を開始した。

 まずは将太に会いたかったが、ドアをノックしても反応が無かったので、将太の家付近をぶらぶらとうろついていた。

 暇を潰してる際に聖奈さんを見かけ、一時的に荷物持ちとして一緒に帰宅することに。

 着いた瞬間あの馬鹿女に歯を折られそうになったが、なんとか持ちこたえて再び外出。

 ───今に至る。



 十五夜は過ぎたけど、今夜は本当に月がよく見える空だ。
 しかし寒い風が通り抜ける季節故、特に夜は冷える。

「…ふむ、晩飯を食ってからの方が良かったか」

 由紀奈が作ってくれたマフラーもそれなりに温かいんだが…

 更に聖奈さんの料理が加われば、寒さなんて一瞬で吹き飛んでたな。


 雪の季節を思い出す。
 俺と由紀奈と父さんと…ゴツァンの格好をした母さんが笑っている冬景色。
 最初で最後のメリークリスマスだった冬景色。

「今年も上手くやれるよな、父さん、母さん」

 この祈りが天の神まで届きますように。


「………ふう」

 十分も経たずに到着。

 寒いし、ぱっぱと終わらせてさっさと帰りたいんだがな。

 中から怒号が聞こえれば、それはもう相当な厄介事だと認識してしまうものだ。 …人間ってヤツは。






 両親がいなくなり、早急に僕を引き取ってくれたのが今の養父だ。
 まだその時は養父の家族もいた。 奥さんに娘さん…つまり養母と養妹、僕の新しい家族だった。

 違うか、「僕の新しい家族になるはずだった」…この方が合ってるかもしれない。
 戸籍上ではたしかに家族だけど…

 養父と養母は非常に仲が悪かった、理由はわからない。 端的に言えば相性が悪かったのだろう。
 だから正式な離婚もせずに、二人は別居生活を始めた。

 養父と僕、養母と養妹で。

 そこからだ、引き取ってくれた時の養父とは全然違う養父になったのは。


甘辛ニーズの最初へ 甘辛ニーズ 38 甘辛ニーズ 40 甘辛ニーズの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前