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光の風
【ファンタジー 恋愛小説】

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光の風 〈貴未篇〉後編-12

「それが答えになるのは、カルサが優しいからだ。」

カルサは何も言えなかった。

「力を持っていて、勇気があるからだ。」

 貴未の声は容赦なくカルサの内側に入り込んでくる。それは今までにない風だった。

「お前に負荷があるのは、お前の優しさや強さに甘える奴がいるからだよ。それをカルサが受け止めているから負荷が高い、それだけだ。立場なんてこじつけにすぎない。」

貴未の真っすぐな姿勢はカルサには眩しすぎた。何とも言えない感情が込み上げてくる。

太古の国の皇子だからと義務付けしていた姿を、千羅が切なそうに笑って聞いていたのを思い出した。彼はいつもカルサを見守っていたのだ。

 貴未は空を見上げて呟いた。

「この広い世界の中、何で力はカルサを選ぶのか、だよな。」

カルサも同じように空を見上げた。

「呪いみたいなもんだ。」

まるで吐き捨てるように呟いた言葉は、今までと色が違っていた。そこには義務感や窮屈な気持ちはない、開放的なむしろ他人事のような気持ち。

カルサは視点を変えた。

口の端で少し笑っているのは気のせいじゃない。

「違いないな。」

ささやかだが笑い声が響いた。相変わらず空は高い。吹き抜ける風は久しぶりに心を踊らせるほど爽やかに駈けていった。

気持ちを切り替え、新しい一歩を踏み出すには十分な気持ちだ。

「オレはもう帰る力を手に入れた。」

貴未が沈黙を破った。

「どこへでも行ける。オレはもうここに居る理由はない。」

貴未の言葉をカルサは黙ったまま聞いていた。確かにそうだと心の中で呟く。

「ただ、永がいない。」

貴未はカルサと向かい合うように体を動かした。

「カルサ、同盟を組もう。永を探すにはカルサの傍にいるしかない。それにカルサにとってもオレの力は役に立つ。」

貴未は手を差し出した。そこには今までと違う関係が始まろうとしている入り口がある。何かが変わろうとしている。

カルサは貴未の手を見つめた。


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