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結界対者
【アクション その他小説】

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結界対者・終章-18

「な…… これ……」
 視界に飛込んできたのはサーベルの先端、俺の左肩を後ろから突き刺し、突き抜けたサーベルの先端!

「ぐっ…… 痛え……」

 足の力が抜け、もつれ、そのまま、倒れこむ。

「イクト君!」

 後ろから叫ぶ、サオリさんの声ですら、傷口に痛みになって響く。

 そんな、追い付かれた? しかも、俺、刺されて……

「イクト君! しっかりしなさいっ!」
「……サオリさん?」
「大丈夫、そんなの、かすり傷だと思いなさい! 立ち上がって、また走るの! セリを助けるんでしょ!」

 そうだ…… 間宮を……

「ここは、私が食い止める! だから、イクト君、あなたは行きなさい!」

 思わず我に返り、そして振り返りサオリさんをみる。
 と、そこには、今まさに追い付いた甲冑に一撃を喰らわせ、消し去ったばかりのサオリさんが悠然と立っていた。しかし

 サオリさん! それ……

 サオリさんもまた、いくつもの傷を負い、紺色のメイド服に赤黒く、おびただしい量の血が滲んでいる。

「サオリさん! サオリさんは……」
「大丈夫、ここなら、この廊下なら、ひとつづつ相手に出来るから…… さあ、早く行きなさい!」

 ……くっ

 走り出す、とにかく走り出す!
 肩を貫かれ動かなくなった左腕も、その痛みも今は気にならない。間宮を助ける、ただそれだけを、頭の中で繰り返す。
 廊下から非常出口へ、扉を蹴破りすぐ側の非常階段へ! そいつを駆け登り、とにかく上へ。

 もう少しだ、間宮、待っていろ、間宮!

 見上げながら登る、空が次第に近くなる。
 あと、少し……

 その時、頭の中に再び、あの声が響いた。
『よく頑張ったね。だが、ここで終わりだ』




―5―

 終わりって…… どういう……

 考えるまでも無かった。それまで、両足で踏みしめていた筈の階段が、どこかへ、そのまま消えた。いや、階段だけじゃない、手摺も支柱も全てが!

「馬鹿な……」

 マジかよ…… 俺、墜ちる……

『元々ね、君などには用は無かったんですよ。私の目的は、間宮サオリから力を解放する方法を聞き出す事だけですから。……では、ごきげんよう』

 ふざ…… けるな……

 落ちていく、どうする事も出来ないまま、俺は落ちていく。
 今度こそ、本当に俺は死ぬ…… 今までもヤバイ事なんか腐る程あった、でも今回ばかりは……


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