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Authorization Lover
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Authorization Lover-VOLUME6--3

「木原さんと柴田部長が不倫してるって」

雛菊に苦笑いしながら、自分が頼んだうどんの汁をすすった。

悪い予感は当たった。

「噂は噂でしょ?そんな大事にしなくても…」

「京本専務から聞いたの。…木原常務の耳にも入ってると思うわ」

ひやりとした。雛菊は事の重大さにやっと気付いた。

「…宣伝部が卸したA自動車の新車発表を兼ねて、大々的なキャンペーンあったでしょう?」

「それが…?」

雛菊は嫌な予感がした。

「アレ廃案になったそうよ。…木原常務務の一存で。」

「まさか!」

雛菊はバンッと机を叩いて立ち上がった。周りが驚いて非難の目で見たが、構ってられない。

「本当よ。何でも宣伝のやり方は奇抜で短期的には注目を集めるかもしれないが、長期的な視野というものに欠けている。単純で解りやすくはあるが、人の心の動きを読むということができない…と言っておじゃんらしいわ。」

「馬鹿げてる…」

雛菊はバッと椅子に座って、毒付いた。

「問題はここからよ。…ついては宣伝の仕事を企画にまかせるだそうです。」

「はぁ?」

雛菊は目を丸くした。

「それには条件があって…。」

雛菊は七緒の言葉を聞くなり、食堂から飛び出した。





「燕!!」

「な、何だよ。杉本。」

突然名前を呼ばれた事に驚いて、燕は雛菊を振り返った。燕は、やはり企画室にいた。自分のパソコンの前で一人で立っている。
いつも乱雑な燕の机が片付いているのが、雛菊に見えた。

いや、段ボールに燕のデスクの荷物が詰っているのだ。

「何してるの?」

声が自然にかすれた。燕は苦笑いして雛菊見て、段ボールを軽く叩いた。

「見ればわかるだろ?」

「何で?アンタが犠牲になるのよ…?」


"柴田部長の地方異動が条件なんですって"


「仕方ないだろ〜。お上には逆らえない。」

燕は、また段ボールに荷物を詰め出した。


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