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ベルガルド
【ファンタジー その他小説】

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ベルガルド〜闇の薔薇と解放〜-2

「外に馬車を用意させてあります。私は荷物を用意してきますので、セシルと副団長は彼らを馬車へお連れして」
「はーい!トゥーラ様」
セシルは元気よく手を挙げ返事をすると、さぁさぁと言いながらカイの背中を押して行った。カイは戸惑いながらもされるがままだ。
その二人の後ろからベルガルドと副団長がついていく。
謁見の間を出て、装飾を控えたシンプルな廊下を4人は進む。

「魔族の王、ベルガルド殿じゃったかな。」
「なんだ。」
「トゥーラ様のことどうかお願い致す。」
「俺に頼まないでセシルとかいう女に頼めよ。」
「そうじゃったな。」

副団長は老けた顔を歪ませ、微笑んだ。今までの年月がシワに刻まれているように見えて、ベルガルドはなんとなく(こいつも苦労してきたのかもな)などと考えながら歩いていた。

ドサ

「え・・・?」
思いもかけない状況にカイは目を丸くする。
カイのすぐ後ろにはセシルが倒れていた。
「団長殿!!?」
副団長はすぐさまセシルに駆け寄ると、背中を持ち上げて体を起こさせた。
セシルは苦しそうにゼェゼェと肩で息をしている。
その眼は開いているのに、焦点が定まっていない。
「そいつどうしたんだ?」
「ベル!分からない、急に倒れて・・・」
その時セシルがぼそぼそと言葉を発した。

「・・・薔薇のにおい・・・」

「え?薔薇・・・?」
カイと副団長はどうしていいか分からず、オロオロと狼狽しきっている。
ベルガルドはカイを見てはっとしたように、セシルを見る。

「そうだった・・・俺としたことが厄介な問題を忘れていたな。」

「ベル?何さ、どういう・・・」
「DR中毒だ。カイ、お前魔力を封じるの忘れてただろ。」
「え・・・?あぁっ!!」

カイは思いついたように魔力を封じ込めた。それでもセシルの状態は変わらない。
「おい、じいさん!こいつを助けたかったら、白い薔薇を何本かすぐに持って来い!」
副団長はわけも分からないまま、頷いてすぐに走りだした。

「何かあったのですか?」

後ろの方から白いブラウスと黒いベルベットのワンピースに着替えたトゥーラが姿を現した。鞄を持ったメイドも後ろからついてくる。
「セシル!!?」
トゥーラはカイが支えている少女を見て、すぐに駆け寄ってきた。
「どうしたの!?セシル!!」
「大丈夫・・・です、トゥーラ様」
セシルは苦しそうにしながらも、返事を返した。しかしその視点は相変わらず定まっていない。
「ごめんなさい、僕の不注意でこんなことに・・・」
カイは心底申し訳なさそうにしょぼくれていた。
「DR中毒って言ってな、まぁ簡単言えば魔力に当てられたんだ。すぐに良くなる。」
「え・・・?」
トゥーラは全く訳が分かっていないようで、詳しい説明を要求した。
赤い髪の少年はめんどくさそうに話し始める。


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