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ベルガルド
【ファンタジー その他小説】

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ベルガルド〜対峙〜-4

「俺が、王で悪かったな・・・」
ベルガルドはぼそっとそう言うと、後ろを向いて完全にすねてしまった。


しばらく経った後、やっと再度話をできる状態になった。
先程まで空気とは一転して、少し和やかな雰囲気になっている。


「本当に失礼を致しました・・・ベルガルド王」
トゥーラは今度こそ間違いなく、ベルガルドにぺこりと頭を下げる。
「別に・・・怒ってねぇよ」
ベルガルドはそう言いながらも相変わらず不機嫌そうだ。
「ベル、そんなにむくれてないでさ、早く話の本題に入ろうよ。」
「むくれてねぇよ・・・」

セシルと副団長は先程までの緊張をすっかり解いて、にやにやとした笑みを浮かべていた。「あなた達、何がおかしいのですか?」
護衛団二人の不気味な表情に気づいたトゥーラが思わず尋ねる。
「だって、トゥーラ様が素を見せた所なんて初めて見たんだもの〜」
「そうじゃの。普段は冷静沈着で鉄で出来ているのかと思うくらいじゃったが・・・まさかこんな一面があったとはの・・・」

トゥーラの顔は再度真っ赤になった。

「お黙りなさい!今はそのような話をしているときではないわ」
そんなトゥーラの言葉はお構いなしに、二人は少し離れた場所から、にやにやしながら話を聞き続ける。

「・・・。本題に入ってよろしいかしら?」
「あぁ。」
二人の愛想の無い会話を聞いて心なしかカイもニヤニヤ笑いを浮かべているようだ。しかし、ベルガルドは無視を決め込むことにした。
「あなた方を試すようなことをして申し訳なかったわ。きっとアーレンに来てくださると思って、あんな挑発的な手紙を送ったんです。まさか王直々に来られるとは思いもしませんでしたけど。」
「最初から自分でレオーベンに来るつもりはなかったってことか?」
「ええ、だって・・・無事では済まないでしょうから」
トゥーラはそう言うとベルガルドの表情を伺った。
「まんまと策にはめられたってわけか・・・」
ベルガルドは頭を抱えて、うなだれる。
「私達としても魔族に偏見がありましたから、本当に聞いた通りの一族なのか、知る必要があったんです。」
「まぁ、そのことはもういい。結果として、事件の犯人を直接目撃できたわけだしな。」
その時トゥーラの瞳が震えた。
「あなた達が見たのはどんな・・・人物でしたか?」
「長身で黒髪・黒い目・黒いコート。漆黒の男だったな。まじまじと見れなかったから、それくらいしかわからねぇ」
「そう・・・ですか」
トゥーラはほっとするとも、がっかりするとも分からない顔をした。
「この城の研究所では、魔族に対抗するための研究が行われていました。あなた達に攻撃するためではなく、あくまで自衛のためです。」
「まぁそれは理解できる。国を治める者としては、国民の安全を保障するのも大事な役目だからな」
責める様子のないベルガルドに、安堵の表情を浮かべた。
「本日、そこの最高責任者である科学者が亡くなっています。犯人が、その兵器を邪魔なものと見なして襲ったのなら、犯人が魔族の可能性はありませんか?」
ベルガルドは少し考えこむような仕草をした後、カイに尋ねた。


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