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飃(つむじ)の啼く……
【ファンタジー 官能小説】

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飃の啼く…第17章-7

「ヤクだ。それも飛び切り上物の。」

「持ち主は?あんた…じゃなさそうだな。」

男は、女をひざに乗せたまま器用に身体をかがめて、机に肩肘を突いた。

「俺のものになるはずだった。」

そして、長くなった葉巻の灰を落としてから

「取引相手がヘマやってとっつかまったんだ…だが、警察が押収したという情報もねえ。どこぞの勘違い野郎が持って逃げちまったにちげえねえ。」

もう一本葉巻をとって勧めてきた。

「取引相手?」

葉巻を断って、追求する。名前を明かすことに躊躇した様子だったが、肩をすくめて言った。

「南 庄蔵って野郎だ…なんでも、賞金稼ぎに挙げられたらしい…。」

賞金稼ぎ…興味深い情報だ。

「その賞金稼ぎの情報は無いのか?」

いや、と、仲村は首を振った。

「手がかり一つ見つかりやしねえ…だが勘違いするな。お前が探すのはチャチな犬なんかじゃねえ…ヤクだぜ。それさえ手にはいりゃあ文句はねえ。何しろ純度が違う。末端価格までざっと見積もりゃぁ…」

手を振ってさえぎった。余計な情報は必要ないし、この男のマフィア気取りの身振り手振りにもうんざりだ。この男も、どうせ一度では飽き足らず、二度目の以来を申し込んで、あの廃病院に連れて行かれる運命だ。

「結構だ。では、見つかったときはこちらから連絡する。」

そしてドアを閉め、足早にその場を後にした。

「犬、ねえ…。」

賞金稼ぎの存在は、裏社会ではかなり有名になりつつある。なんでも、警察が目撃情報や証言に報奨金を出すことになった事件の、情報どころか容疑者を捕まえてくるという凄腕の賞金稼ぎだ。

同業者…あるいは…

「同属…か。」



*************



「一体何をしてるの?あなたの仕事って、なんなの?」

またそれを聞くのか、と、飃の表情は心なしかうんざりしているようにも見えた。

「危険なんでしょ?だから私に教えてくれないんでしょ?」

「…何も言わない。」

頭に血が上る。

「カジマヤを巻き込んで、平気なの?!まだ小さいのに!」

卑怯だ。私はそんなことが言いたかったわけじゃない。ほんとうは、“まだ小さいカジマヤにとってなら危険じゃなくて、私にとっては危険な事ってなんなの?”と、こういいたいのだ。


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