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見合わぬ戦果
【歴史 その他小説】

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見合わぬ戦果-1

『一機一艦必中轟沈』

名前だけは勇ましく飾られた幟、歓呼の声と帽振れに送られて私は機上の人となった。

九州南東海上。重い桜花をぶら下げたたった一機の一式陸攻は永遠に続く海原にあるたった一個の黒点を発見した。
ここまで、よくもグラマンに見つからなかったと思う。陸攻の搭乗員との笑顔の別れ。

「ここまでありがとうございました。どうか皆さんは生きて帰って私の最初で最後の戦果を報告してください。天皇陛下万歳」

何度も何度も繰り返し練習した別れの言葉。はっきり言えてよかった。
桜花の風防が閉じられ一人きりの小さな世界。
私はいよいよ行く。

ガクンいう軽い衝撃。重力に引きつけられるように落ちる桜花。すべてのロケットエンジンに点火し機械の一部でしかなくなった私を乗せ桜花は、敵大型駆逐艦に向け全力飛行した。


マナート・L・エベール九州南東海上にて桜花突入後船体は真っ二つに折れ一分後轟沈。

それが、戦後50年たってわかった彼の最初で最後の戦果だ。






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