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つかの間の愛情
【その他 恋愛小説】

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旅立ちの日-13

「土田、カメラ持ってきたか?」

「ああ、バックに入ってるけど」

「じゃあ、彼女達を撮ってくれ。後で渡してやろう」

「なあ一巳?」

「何だ?」

「オマエ、里香ちゃんと付き合わねえの?」

「何だよ、やぶからぼうに」

「だってよ、オマエと里香ちゃん似合いだし。岡山なら遠距離でもバイクで行ける距離だろ?もう恵子の事は……」

「ウルセェよ!土田ぁ。黙ってろ」

一巳の怒号で土田は黙ってしまった。一巳はまだ過去を引きずっていたのだ。


美那がタッパーを開けながら、

「二人で5時に起きて3時間掛って作ったんだから!残したら殺すわよ」

フタを取ると、一巳と土田は〈ホォーッ〉と言って感心する。
ひとつのタッパーにはおにぎりが入っている。それも海苔巻きとチキンライスのおにぎり。
もうひとつにはオカズが入っており、ベビーオムレツやウインナー、唐揚げなどをレタスを枕にして、食欲をそそる配色だ。

里香が水筒のお茶を皆んなに配る。
〈いただきます〉と言って、昼食は始まった。

一巳は海苔巻きを取ると一口食べる。中の具は……オカカだ。
好きな具と思って食べている姿を、里香と美那が見つめている。
一巳は不思議がって、

「何?」

里香が心配そうな顔で、

「どうです?味」

「ああ!美味いよ」

一巳の明るい答えに里香と美那はホッとした表情で、〈良かった〜!〉と言って自分達も食べ出した。

彼女達の一連の仕草に一巳は、

(オレは毒味役か?確かに塩気が足りない気もするが……)

しかし、あまり気にした様子も無い。普段包丁も握った事もない2人が朝早くから作ったのだろうからだ。
一巳達は昼食を楽しんだ。

昼食を終えて、しばらく横になる。午後になり風が出てきた。
暖かい日射しと相まって、心地良く感じられる。

土田がオレの肩を叩く。


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