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飃(つむじ)の啼く……
【ファンタジー 官能小説】

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Whirlwind-10

「昔から、妖怪やモンスターの類が人間を連れ去り、異種間結婚を行うことは良くあった…それは、種の滅びを恐れたもの達の、せめてもの足掻きだった。」

彼女は、それが自分自身の不幸の歴史であるかのように語った。

「そこに、意義なんか無ければ…ただの足掻きだったならば、良かったのかもしれない…でも、違った。」

「違った?」

彼女はうなずいた。

「大昔の日本…今から七百年も前のこと…異種間結婚を行った狗族と人間がいたの。女は、“悪魔”に襲われる村に住む狗族。男は、妖魔を退治することを生業とする剣士だった。二人は恋に落ち…二人が交わると、聖なる武器がこの世に生まれた…。」

「じゃあ…それが呪いの起源、なのか…」

「太古の昔には、人間も狗族も、今よりずっと氣…そうね、魔力、と言えばわかりやすいのかもしれない。人間だけじゃない、この世界には善い氣が満ちていた…。今ではそんなもの、ほとんど残っちゃいないわ。だから強制的に、自分の中に氣を集めるの。そして、それを子供の中に宿す…とても難しい呪いで、自分の寿命をほとんど使いきってしまうほど大掛かりなものなの。そして、一生に一度しか出来ない。」

そして、伏せていた目を不意に上げ、俺をその場に縫いとめようとするかのように視線で射抜いた。

「貴方のご両親は、貴方を生んだ3年後と、5年後に亡くなった。」



さあ、これでお前は自分の出自を知ったぞ。お前は自分たちとかかわりを持たぬことは出来ないし、お前の血がそうさせない…そう、語っていた。

俺は答えを出せないままその目を見つめ返していた。俺と同じように金色を宿した、こげ茶色の瞳を。彼女は、目を伏せてタイムリミットを告げた。俺は呪縛が解けたようにつられて視線を外して、飲みたくも無いのにビールを飲んだ。

「…行くのか。」

「ええ…これ以上は話すことが無いもの…。」

彼女は立ち上がって、男には想像もつかないやり方で、ゴムも使わずに髪の毛を結った。俺の目の前を通り過ぎる時も、彼女は俺の目を見なかった。そして、生えるわけの無い根が尻から生えてベッドに食い込んだみたいに俺は動けずにいた。

ドアに手をかけた音に続いて重い音がして、開いたその隙間から、夜の冷気が忍び込んできた。

いつの間に立ち上がったのか…俺は気付くと女の手を握っていた。

「な…なに」

言葉を遮った。

キスで。



拒まれると思った。拒まれると解っていたのに、どうして俺は彼女に口付けしているんだろう。

そう。

そう、わからないことだらけだ、この世なんて。


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