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滑り台‐地面=君と私
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滑り台‐地面=君と私-2

いつもよりゆっくりとした足取りで家に向かう。リョウはユウコに会えたのだろうか…。気が付くと次の角を曲がるればもう家に到着、という所まで来ていてかなり驚いた。まるでリョウと別れてからここまで記憶が消え去ったみたいだ。そして、角を曲がる。私の家がすぐそこに見え、その3軒先にユウコの家が見える。けれど見えたのは家だけではなかった。
 家の前には、ユウコがいた。ブロック塀に背中を付けてもたれている。リョウもいた。ブロック塀に手をついていた。
 二人はキスをしていた。

私は角を曲がった所で動けない。動けない。息が止まりそう。なのに心臓の鼓動は大きくなっていく。どうしよう?どうしたらいいんだろう?どうすればいいんだろ!?
 視線の先で二人はゆっくりと体を離す。
―駄目だ、私はここに居てはいけない…。
その場で回れ右をして地面を蹴った。

 呼吸が乱れる。上手く酸素を取り込めない。
今すぐ家には戻れないので、取り敢えず近くの公園に逃げ込んでみたものの、なんだか居場所が無い。あの真ん中にぽつんといる滑り台みたいに私は孤独だ。
 キスなんて二人は付き合っているのだから当たり前の事だったのに。そこを私が目撃したからといってそれが一体何なんだ?どうして私が逃げなければならないんだ?
 なのに私の呼吸は落ち着かない。心臓は巨大な音をたてて私を圧迫してくる。私の中が心音で削られて、ざらざらになっていく。
どうして。どうして?どうして!?
「どうして…。」
思わず口からこぼれ落ちる。私の目からも何かがこぼれ落ちた。こぼれ落ちたものを拾うと、それは私の指を湿らせた。
 そして私は答えを理解した。本当はもっと前からわかっていた。わかろうとしていなかっただけだった。

 ―私はリョウが好きなんだ。リョウの笑った顔が好きだ。例えそれが私に向けられたものでなくとも好きだった。だけど。
だけど、ユウコも大切だ。ユウコの笑顔も大切だ。
それら全てが私にとっては無くせない。
 私は鞄を地面に放り投げて、滑り台に上った。冷たい風が私のスカートを揺らす。滑り台の上から下を見た。ユウコと一緒に見ていた頃は、あんなに地面が遠かったのに、今はひどく近い。それは私が大きくなったから?それともユウコが隣に居ないから?
例え地面が近くても、ユウコがいればきっと今も滑り台の上で笑える。そしてユウコが笑えば、リョウも笑うんだ。そうすれば私も笑える。それがベストだ。きっとそれだけがベストなんだ。
 私は滑り台から一気に滑り降りた。一人でも思ったより地面は遠かった。指先はもう濡れていなかった。


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