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冷たい情愛
【女性向け 官能小説】

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冷たい情愛9 過去-16

山本は、学校の敷地をのんびり歩いた。
裏手の土手には、一人の若い男が寝そべっている。

不審者ではないか…
教員らしい疑いから、彼はフェンスの扉を開け、土手へと向かった。



そこには…見覚えがある懐かしい顔がいた。



「山本先生…」

「おお…どうした!?久しぶりじゃないか」

「ご無沙汰しております」

「いやあ…今日な懐かしい顔によく会うなあ」

山本は笑いかけた。



「今日はどうしたんだ?」

「ええ…人の付き添いで近くまできたので…」

「今日な、笠原も来てるんだぞ」

山本は、熱心に指導した陸上部の教え子に二人も再会できたことが嬉しかった。


「向こうは私のことを覚えてないんじゃないでしょうか」

「ん?同級じゃなかったか?」

「いや…笠原先輩より2歳下ですよ」

「いくつになった?」

「28になりました」

「そんな歳になったのかあ…」


山本は、過ぎ去った年月を感じた。

過去、若く情熱に溢れていた自分…

そんな自分と同じ教壇に経ち、一人の生徒と愛し合った同僚であり友だった男…

必死に学び、必死に男に追いつこうと幼い体を開いた生徒…

そんな大人になっていく友の傍で、いつも楽しそうに過ごしていた生徒…

昔から寡黙で、今では精悍で冷静な大人に成長した生徒…



山本は土手に立ち、かつての教え子と空を見上げた。


そこにはただ…
青い空が広がっていた。

たくさんの人たちの人生の上に過去も今も未来も…常にあり続ける…

そんな青く広い空が広がっていた。


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