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Authorization Lover
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Authorization Lover-VOLUME2--3

パソコンの電源を切り、部屋を出ようとしたらバタンとドアが開いた。顔を上げると、華奢な青年が駆け込んできた。
顔には汗が光り、部屋を見渡して明らかに失望した顔をしている。
修平は思わず声をかけてた。

「どうかしたんですか?」

青年は話しかけられてやっと修平の存在に気付いたようにハッとしてから気まずそうに答えた。

「あぁ、ここに守川っていう新人入ったんだろ?そいつに用があったんだ。」

青年は不機嫌そうにボソボソ話す。

見た目と違って乱暴な言葉遣いだったのは意外だったが、バツが悪い思いをしているの修平にもわかった。

修平は青年を観察した。黒に緑がかった目に人形のように整った顔。その割には強い意志を主張するように体からは気が発しられていた。

「あぁ、桃ね。今日歓迎会とかで定時に上がりましたよ。」

「そうか。」

青年は気のないような返事をした。その返事に修平は少し腹がたって、少し意地悪をしたくなった。

「もっと早く来てれば会えたんじゃないんですか?八時過ぎなんてフツー会社残ってませんよ。」

青年は首をすくめた。

「…挨拶回りとかで忙しくて来れなかったんだよ。」

青年はふてくされて言った。

「挨拶回り?」

「おう。…中途入社で今期から榊商事に入ったんだ。」

ん?中途入社って…

修平には何かひっかっかった。

「守川に伝言頼めるか?」

「あっ、あぁ。いいですよ。」

「電話番号は変わってねぇから、って伝えてくれ。」

青年は部屋から出ようとした。修平は名前すら聞いていないことに気が付いた。

「アンタ名前は?」

青年は振り返って「谷川史朗」とだけ呟いて、去っていった。修平は狐に包まれたようにドアを見ていた。

谷川史朗───。

アイツか。

ハーバード出の天才青年が金原商事を蹴って此方に来るとは噂で知っていた。
大学の先輩でもあって金原商事に勤める東山先輩が驚いて自分に話したのは久しい。
別に会社に不満はなかったらしいが、榊に入社する事を強引に決めた事に先輩は辟易していた事を思い出していた。


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