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ヒトナツ
【コメディ 恋愛小説】

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ヒトナツB-6

「……吾」
「あ?」
突然、渚が喋った。
「……あたしのこと好き?」
「ああ!?」
なに言ってんだか。
「……」
「なんで答えないのよ」
ちっ、この酔っ払いが。

「……答えなさい」
渚は赤い顔でじっと見つめて…いや、睨んでくる。
「……好きだけど」
「じゃあキスしなさいよ!」
「はぁ!?」
こいつ、マジでやばい。
「あたしだってキスしたんだから!健吾もしてよ!」
酔っ払った女って怖いな。
適当にあしらっとくか。
「なに言ってんだよ、俺には……」
「うるさい!うるさい!うるさい!」
驚いた。
酒の力とはいえ、なにをそんなに怒っているのか。
「……ほら、行くぞ」
「キスしなさいよ」
がしっと顔を掴まれると、渚の顔が近付いてくる。
「……は、はなせ!」
慌てて振りほどくと、つい走って逃げてしまう。
「待てっ!」
渚はさっきまでフラフラだったくせに、普通に走って追いかけてきた。

まさか、酔ってないのか?

って悠長なことを言っている場合ではなかった。

こいつ……足はえー!

全力で逃げても振り切れねえ。

「ぎゃああああ!待て!待て渚!落ち着け!!」
「待てるわけないわ!!止まりなさい健吾!!」

ほら、OLのお姉さんが訝しげにこっちを見てる。
「……誰だ?」
ま、まあとにかく、駅まで逃げ切ってやる。
俺達は、なぜか全力疾走で駅までの道のりを駆け抜けたのだった。


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