投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

飃(つむじ)の啼く……
【ファンタジー 官能小説】

飃(つむじ)の啼く……の最初へ 飃(つむじ)の啼く…… 193 飃(つむじ)の啼く…… 195 飃(つむじ)の啼く……の最後へ

飃の啼く…第15章-15

坊は夜風に聞いてみた

あの灯(ともしび)は何ぞやと

風は答えていったとさ。

あの灯は汝(なれ)の父、

あの灯は汝の母。

毎夜ふたりはああやつて

おまへの夜をてらすだろ

あの灯は夜の星

おまへをてらす夜の星』



さくらは、その不思議な声に聞き入って、いつの間にか泣き止んでいた。

「なんて言ってるの?」

「さくらのお父さんもお母さんも、今は空の星になって、さくらが悲しいときにも光って、お前を守ってくれているんだ。そういう歌だよ。」

「ほんと?」

さっきまで涙に濡れていた瞳が余計に輝く。

「じゃあ、お空のずうっと上に行ったら、逢える?」

「どうかな…いつか、お前にもわかる日が来るよ。」

そう言って、柔らかい彼女の額に、口付けた。幼い子供特有の、甘い香りがする。

「おじちゃん。」

そう言って、さくらは枕の下をごそごそと探った。

「これ、あげる。」

渡してくれたのは、木彫りの腕輪だった。絵の具で色とりどりの模様が描いてある。

「図工の時間に、ママに作ってあげたの。でも、おじちゃん優しいから、あげる。」

「…ありがとう。さくら。」

少女はにこっと微笑むと、そのまま眠りの中に落ちていった。





++++++++++++++





確か油良は言っていた。

「おそらく奴らは、あなた方をかど勾引(かどわ)かし易いように、お互いの心のもっとも危うい時期を狙ってくるじゃろう。」

その通りだった。


飃(つむじ)の啼く……の最初へ 飃(つむじ)の啼く…… 193 飃(つむじ)の啼く…… 195 飃(つむじ)の啼く……の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前