投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

やっぱすっきゃねん!
【スポーツ その他小説】

やっぱすっきゃねん!の最初へ やっぱすっきゃねん! 70 やっぱすっきゃねん! 72 やっぱすっきゃねん!の最後へ

ICHIZU…Last-6

「ただいま!」

だいぶ夜も更けた頃、ようやく建司が帰ってきた。
加奈はリビングから玄関へと建司を出迎える。

「おかえりなさい。随分遅かったわね?」

「残業さ。決算期に向けての資料作りでさ…」

「食事は?」

「ああ、済ませたてきたよ。風呂に入らせてくれ」

疲れたという表情で建司は言うと、スーツを着替えに奥の部屋へと向かう。
いつもは一人で着替える建司だが、部屋のドアーが開いて加奈が入ってきた。

建司は意外という表情で、

「どうしたの?」

「それが……」

加奈は言うべきかどうか戸惑った。すると建司が何気なく訊いた。

「佳代と修に何かあったのかい?」

「エッ!何で分かるの?」

加奈はスバリ当てられ驚いた表情を見せる。
建司は小さく笑うと、

「君が深刻な顔をしてるからさ。君は子供の事以外で、そんな顔しないよ」

加奈は夕食時の出来事を建司に伝えると、建司は再び笑いながら答える。

「ケンカでもしたんじゃないの?」

「でも……あんな雰囲気初めてだったわ」

「まあ、2、3日放っといてごらんよ。それでも変わらないならボクが訊いてみるから」

着替え終わった建司と共に、加奈も部屋を後にした。

リビングに加奈が戻ると、佳代が自室から降りて来ていた。

「どうしたのアンタ?こんな遅くに」

「うん……お父さんにちょっと」

「何?好きな人でも出来たの!」

加奈はわざとらしい口調で佳代を囃立てる。
いつもなら大袈裟なリアクションを取る佳代だが、その時はかすかに笑っただけだった。

2人の会話はそれきり途絶えた。
テレビでは甲子園予選のダイジェストが流れていた。佳代は素早くリモコンを取ると、チャンネルを変えた。
その姿が信じられない加奈。〈いつも野球の事なら喰い入るように見るのに〉と。

やがて風呂上がりの建司がリビングに現れた。首にタオルを巻いて、滴る水気を拭きながら、

「いやぁ!いい風呂だった」

建司は佳代に気づくと、リビングに据えてあるロー・ボードのテーブルのそばに座った。
加奈も建司のそばに腰掛け、佳代を見つめる。

建司が佳代に訊いた。


やっぱすっきゃねん!の最初へ やっぱすっきゃねん! 70 やっぱすっきゃねん! 72 やっぱすっきゃねん!の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前