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SLOW START
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SLOW START W-2

「すいません!すぐ戻ります!」

『当たり前です。0.5給料減ったからな〜じゃ』

プープープー

…あいや〜すぐ戻らないと
振り返りユウキ君の元へ行くと何やら電話中だった。話している内容であたしと同じだと分かる。

「時間の事忘れてたね〜」
電話を終えたユウキ君に話し掛ける。

「あんな偶然があったからね。もっと話してたいけど…会社戻るか」
本当はもっと話していたい。ゴミを捨て公園をでる。

「じゃあ仕事頑張ろ!また夜メールするよ」

「うん。ユウキ君も頑張って。じゃあまた」

手を振り会社に戻るとエントランスからエレベーターまで小走りで向かう。

…何だか夢見てるみたいな時間だったな…

あたしはふわふわした心地のままデスクに着いた。

「今日なんか変なのはお前だろ」

田山先輩の声で現実に引き戻された。
ちょっと怒っているのが分かったがあまり効かなかった。

「すいません。ボーッとしてました。」

あたしは平謝りしてパソコンに向き直る。

「おい、今日の約束は忘れんなよ」

「あ〜はい。大丈夫です」
田山先輩は諦めたのかため息をついてから自分の席に帰っていった。
あたしの頭はユウキ君の事で満タンだった。

…海原悠樹っていうんだ〜いい名前だなぁ
…サッカー部ってかっこよすぎでしょ
…八重歯やばぁい

こんな具合で仕事も手につかず、あっという間に17時になった。

「おい、飲み行くぞ。」

田山先輩はもう帰る支度を終えあたしを急かしながら待っていた。

「はぁい!」

「下で待ってっから早く来いよ」

あたしはユウキ君にメールを送る。

【今仕事終わりです。これから先輩と強制的に飲み行きます。一応番号教えておくね〜090………では行ってきます】

携帯を鞄に入れデスクを整理してから田山先輩の後を追った。

会社を出て歩いて近くの飲み屋街に行く。
あたしは自然とユウキ君の姿を探していた。

「…何きょどってんの?」
田山先輩は不思議そうに聞いてきた。あたしは別にと返し付いていく。

居酒屋に着くと席は半分ほど埋まっていた。
店の奥の仕切られたテーブル席に座りおしぼりで手を拭いた。
すでに最初はビールと決まっていた。とりあえずいつものたこわさを注文する。
田山先輩はおしぼりで顔を拭きながら、軟骨のから揚げと茄子の漬け物を頼む。ビールが先に来たので乾杯だ。


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