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飃(つむじ)の啼く……
【ファンタジー 官能小説】

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飃の啼く…第13章-10

飃は、そこでようやく自分ではしっかり保持していると思っていた理性を取り戻した。



だが、しかし…下手には動けない。



少々手荒に、さくらの顔を上に向かせて、深く深く口付ける。その間に、さくらの寝巻きの前を開く。さくらも、ボタンを引きちぎる勢いで同じことをする。



顔を離したとき、目の前にあったのは、信じたくない現実…

さくらの平らな腹を、呪いのしるしが覆っていた。

邪悪な呪詛…蠱毒(こどく)を盛られたものに現れる印だ。

「く…!」

歯を食いしばる飃に、さくらはせがむ。

「おねが…つむじ…!」

飃の手を取って、自身の胸にあてがう。なんてことだ、燃えるように…

「熱いの…!」



こ毒とは、壷の中に入れた蛇やムカデや蛙を共食いさせ、生残った一匹を呪いたい相手に遣わせる邪法だ。

そして…対処が遅ければ、呪われた相手に待っているのは、死だ。

今さくらに取り付いているこ毒は、蛇。蛇は、取り付いた人間を淫乱にする。

身体に入る前の毒ならば簡単に消滅させられるが、身体に入ってしまうと…ずっと昔に飃が教わった方法は、蛇のこ毒に百足(むかで)のこ毒で対抗し、落とすというものだが…今から術を行ったのでは間に合わない…!

一体誰が…?問うまでもない澱みに決まっている。こ毒は扱いの難しい術だから、澱みなぞには使いこなすことは出来ない…とすると、あの陰陽師とやらの仕業か。あの蜘蛛め、厄介なものを持ちこんで…!

「くそ…っ!」

焦る。それと同時に恐怖が襲ってくる。ここで、さくらを失う?こんなにあっけなく、こんな風に?



その時…

―飃、落ち着くのだ。



小さくして、腕につけている北斗が話しかけてくる。

「北斗…!?」



―信じろ。この北斗を信じて、さくらを救うことのみ考えよ!さくらの心の毒気を払う為に、彼女の望むことをするのだ。


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