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伊藤美弥の悩み 〜受難〜
【学園物 官能小説】

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高崎龍之介の悩み 〜女難〜-1

「はぁ!?」
 部屋までやって来た真継が言った言葉に対し、菜々子は耳を疑った。
「だから……俺もうヤだ」
 『こうなったら強硬手段に出ちゃるっ!』と息巻いていた菜々子が聞き間違えないよう、真継はもう一度繰り返す。
 あんなん聞いたら邪魔なんかできっかよ、と心の中で呟いて。
 ――それは、本当に偶然だった。
 授業をサボってその辺をぶらぶらしていたら、龍之介が保健室のカーテンを閉めるのが見えたのだ。
 菜々子が執心している先輩が保健室なんぞで一体何をしているのかと思い、真継は近寄って聞き耳を立ててみた。
 その結果聞いてしまったのは、美弥と龍之介が睦み合う声。
 切なそうに愛しそうに、互いを呼ぶ声。
 あんな声で呼び合う二人の仲を引き裂くなど、真継にはできそうにない。
 だから真継は過日の頼みを断るために、菜々子の部屋までやって来たのである。
「ねぇそれってもしかして……もうヤらせないって言ったから怒ってるの?」
 昔幼馴染みの今セフレという関係上そこが気になったらしく、菜々子はそう尋ねて来た。
「……」
 違うと否定するのも面倒臭くて、真継は沈黙する。
「そうなんだ……」
 菜々子は、考えた風に呟いた。
「……いいよ」
 そして真継の目を覗き込み、そう言う。
「はっ?」
 言葉の意味を掴めなかった真継は、間の抜けた声を出した。
「だからぁ……ヤりたいならヤらせてあげるから、怒らないでよぉ」
「…………………………はあっ?」
 菜々子は、唇を尖らせる。
「先輩と付き合う事になってもえっちはさせてあげるって、言ってるのよ」
「おまっ……!」
 真継は鼻白んだ。
 既に龍之介が陥落寸前とでも言いたげな台詞もさる事ながら、恋人とセフレは別物と言わんばかりのその態度に、真継は驚く。
 あんな切ない声で恋人を呼ぶ以上、万が一龍之介が美弥から菜々子に乗り換えた後で菜々子の浮気を知ったらどんな態度に出るか分からないし、だいいち特定の相手ができたらパートナーはその一人に絞るべきだろう。
「……って、お前は何やってるんだよ」
 動揺していた真継だったが、菜々子の行動で我に返った。
 言われた菜々子はきょとんっ、とした顔になる。
「ヤりたいんでしょ?」
「……違うって」
 目の前でさくさくと服を脱がれ、真継はそっぽを向いた。
 裸の女の子には抗いがたい魅力があるが、真継が言いたいのはそうではないのである。
 単に菜々子とヤりたくて、協力しようとした訳ではない。
 では何故か?
 その辺がもやもやしていたのだが……好きな男ができたと言いながら他の男の前で素っ裸になれる菜々子の貞操観念を目の当たりにして、ようやくもやもやの正体が分かった。
 自分は、菜々子が好きなのだ。
 今までのように適当にSEXを楽しんで終わりになるような希薄な関係では、どこにも足りない。
「なもふっ」
 菜々と呼ぼうとした真継は、言葉を詰まらせる。
 素っ裸の菜々子が、真継の顔を胸に埋めてしまったせいだ。
「えっちしたいんでしょお?しようよ〜」

 ぷつッ

 まずいと分かっていつつも、真継の理性はぶち切れる。
 わしっ!と菜々子を抱き締めると、押し付けられていた乳房を唇で食んだ。
「やっぱりヤりたくて拗ねてたんだぁ……」
「うるふぁい」
 真継は菜々子の弱い所……乳首を、積極的に攻め始める。
 負けたら駄目だと分かっていたはずなのに、真継は菜々子の肉体へ溺れていった……。


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