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聖なる夜に…
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Strange days-3

「何やってんだ!オマエ」

声に反応した女の子が敦を見る。途端に彼女は彼に駆け寄り抱きついた。

「敦!敦!敦…」

敦の胸元に頬を寄せる沙那。
どうリアクションを取っていいか敦は困っていた。後から見ているめぐみの勘違いが手にとるように分かる。

「何の用で来たんだ?」

沙那の身体を自分から引き剥がすと問いかけた。

「ねぇ、お願い!知佳子を助けて」

「チカコ??」

沙那は大きく頷くと、敦の腕を強く掴んだ。

「あのコ死にそうなの!」

「どういう意味だ?落ち着いて順に話せ!」

沙那はツッカエながらも敦に話だした。
知佳子とは学校は違うが偶然知り合い、友達になったひとりだ。彼女は俗にいう〈ひきこもり〉で、原因は学校でのいじめ。知佳子にとって沙那は唯一悩みを打ち明けられる存在だった。

「夜中に…〈今までありがとう〉ってメールが来たっ切り連絡不通になって…」

「で、自殺を図ったと?」

冷静に聞く敦に対して、沙那は涙を溢れさせながらコクンと頷くばかりだ。

「手首を切って…救急車で運ばれて…ウチの近所の救急病院に…」

「で、助かった…」

再び頷く沙那。
敦は鼻をフンッと鳴らすと嘲るような目を沙那に向けて言い放った。

「なんだ、くだらん!自殺志願の卑怯者をオレにどうにかしろってのか」

沙那の顔がみるみる変わり、驚愕の表情を浮かべた。

「敦…アンタ…今何て…」

「オレは慈善事業家じゃねぇんだ!そんなヤツに構ってる暇は無いんだよ」

敦は笑みさえ浮かべて言い放った。沙那の顔が驚きから怒りに変わった。

「何でそんな言い方するの!!私の友達が死ぬかも知れないのよ!」

「オレの知った事か。それに、人にモノを頼むのに会社に出向いて騒ぎを起こすような常識の無いヤツはハッキリ言って迷惑だ。さあ、帰れ!」

敦は沙那から視線を外さず受付の出口を指差す。

「二度と来るか!バカーッ!」

沙那は涙声で叫ぶと出口へと向かった。その姿を追おうともせずに、敦は踵を返すと、エレベーターに向かった。

「止めなくていいんですか?」

エレベーターの中でめぐみは敦に訊いた。

「ほっとけ!自分から死にたがるヤツの面倒なんてゴメンだね。オレに言わせりゃ卑怯者だ…」

めぐみに、そう言った敦の顔はどこか悲しそうに映った。


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