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甘辛ニーズ
【コメディ その他小説】

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甘辛ゾーン-12

 そこには

「……いやっ……!」

 ショウちゃんが与えたらしい餌と

「凪……っ…」

 胃の中の物が逆流して吐き出されてしまったと考えられる汚物の傍で

「……………」

 風船の空気が無くなってしまったかのように、痩せ細ったシャムちゃんが倒れていました。

「いやあああああああ!!」

 何がなんだかわからない。

 横にいるショウちゃんが何かを言う、が、聴こえない。

 もう何も見えない。

 極度の振動が体の中心から生まれる。

 後退った。

 食器棚に勢いよく後頭部をぶつけた。

 脳が震え体が震え、崩れ落ち尻餅をつき、世界が暗転する。




 数秒の感覚を経て意識を取り戻した。

 周りを見渡す。

 ここはリビングで、私はソファーで横になっている。

 時計を見る。

 短針は南に向いていた。

 意識がなかった時は数秒で、覚めた時には数時間。

 そもそも私は何時に起きたのだろうか。


 もたついた足取りで台所に行くと、ショウちゃんがいた。

 付け加えて言えば、どうやら何かを作っている様だった。

「…ごめん、台所借りてる」
「………」
「リビングで待ってて」
「………」

 話す気力もなく、黙ってリビングに戻ろうとした。

 床が綺麗になっている。

 そして何も言わず台所を出た。



 ずっとソファーに座って天井を眺めていると、ショウちゃんが戻ってきた。

 何かを持っている。

「おまたせ」

 テーブルに置かれたその何かは、スプーンと、とても美味しそうなもの。


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