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甘辛ニーズ
【コメディ その他小説】

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甘辛ゾーン-10



「はあぁ…」

 案外簡単じゃないんですね。
 体毛とか残っちゃって、処理が非常に疲れます。

 でも、
「シャムちゃん?」
「………」
 バスタオルに包まれ気持ちよさそうに寝ている姿を見ると、
「ん…ふあ」
 こっちまで眠たくなってしまいます。

 今日はシャムちゃんの傍で極楽浄土に浸りますか。


 ……………。


 いやっ!
 ショウちゃんに電話しないと。何かお話がある様子でしたし…。



 呼び出し音だけがループアンドループ。

 出ませんね。
 そりゃあ新しい日になる直前ですからね。
 もう夢の世界ですね。

 私もさっさと夢物語を完結させなくては。

 それではみなさん。
 チャンネルはそのままで!





 馬鹿馬鹿しくて儚い日記帳は、馬鹿馬鹿しくも悲しい日記帳のままで充分だった。
 あのころの自分はそんなふうに思っていた。

 小学生は理想を描いて、成長していく。
 けれども自分は成長できなかった。

 中学生は色々な知識を頭に詰め込み、進化していく。
 けれども自分は進化できなかった。

 そして、今。
 高校生になった自分は、着実に変化しつつある。
 身体的にも、精神的にも。

 記憶の日記帳を読み返す度に、シンボルが成り立っていく。
 ここからが成長期なのかもしれない。

 秀麻 凪という自分は、人生を踏み直した第一人種である。





 蝉が鳴き木々がざわめき、向日葵が揺れ紫陽花の香りを感じたとき、
 響きと衝撃が一斉にくるその瞬間、私は睡魔の誘惑に負けました。


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