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飃(つむじ)の啼く……
【ファンタジー 官能小説】

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飃の啼く…第9章-8

「そういえばさ、あんた、名前は?」

「名など無い。澱みに加わったときに、名は奪われた…。」

狐は私の前を歩いて案内しながら、こちらを見ようともせずに言った。

「それじゃあ呼びにくいんだよね…じゃあ、風炎は?」

「フェーン…?」

私は少し得意になって説明して「あげた」。

「フェーン現象のフェーンよ。温かい風で、春に山から吹き降りると雪崩を引き起こすんだって。私たちがしようとしてることが成功したら、まさになだれみたいに、やつらにダメージをあたえてやれるもん。」

私が話したのは…実を言うとこの間の理科の授業の受け売りだけど、なかなかにいいネーミングじゃないか、と私は思った。なのにそいつはしばらく何も言わなかった。右だ。とか、左だ、とか。なんだ、気に入らないなら、そういいなさいよ。と思った、その時…

「雪崩…か。それはいいな。」

そう、呟いた。



++++++++++++



ここはどこだ…

脳髄を焼ききるような悪臭。

滴る水音。

固く冷たい床はじめじめと湿っている。

腕が…痛い。

縛られてつるし上げられていたせいだ。

首筋に鈍痛。

打たれた薬のせいだろう。

だが、己は屈していない。

そう。

背中が、焼けているのは、鞭打たれたせいだ。

だが、確かに、己は屈しなかった。



この忌まわしい場所にあって、飃は薬を打たれ、痛めつけられた。しかし、所詮は肉体的苦痛。癒えるときが来る。


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