投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

飃(つむじ)の啼く……
【ファンタジー 官能小説】

飃(つむじ)の啼く……の最初へ 飃(つむじ)の啼く…… 82 飃(つむじ)の啼く…… 84 飃(つむじ)の啼く……の最後へ

飃の啼く…第9章-4

「…!」

「なに、こういうのはどうだ?お前を抱かせてくれるならよォ、お前の旦那に手はださねえ…いや、少なくとも殺しはしねえようにしてやるよ…」

「正気なの…」

「澱みに正気もくそもあるかよ!ほらァ!」

そいつは、私を洗面台に押し付けたままパジャマのズボンを、持っていたナイフでいとも簡単に切り裂いた。

「っく…!」

抵抗しようとさらにもがいた。風邪のせいで朦朧としていた意識が、だんだん晴れてきてる…

「ほらほら、あんまり暴れると、旦那の命が無いぜェ?何せ、向こうには、お前の命と引き換えに大人しくしてもらってるんだ。お前の命のために死んでくれるかも知れねえよなァ。」

「貴様…!」

鏡越しににらみつける。

「ひゅー!その顔!たまんねェ!」

そういって、後ろから胸をもみしだいてくる。屈辱だ。汚らわしくて、吐き気がするけど、飃が捕まっているのは確かだ。もう!何でそんなに私思いなのよ!

下着も取り払われてしまった。鏡に映る相手と自分の顔を直視したくなくて、目をつぶる。

「嫌…やめて…」

「おら!ちゃんと鏡を見とけェ!」髪をつかまれて、後ろに引っ張られる。

「嫌ぁあっ!」



その時、髪をつかむ力が…消えた。そして、鏡に、黒い液体が…

「!!?」

「っぁあ!おまえはァ!?」

そいつは、振り返って後ろを見ていた。私も、手かせをはめられたまま方向を変える。

「おい、ぼんくら…」

この声は…

「ちょこまか動きやがると、おめえのどてっぱらにキレーな横一文字が書けねえだろ…」

リビングに、ひゅんひゅんという音が響く。

漆黒の鎖鎌が、鎌首をもたげた蛇のように、次の一撃に備えていた。

「ゆ…夕雷!」

私は安堵感で、床にへたり込んでしまった。



「おまえ…夕雷って名前なのか?」

不思議と、その澱みは夕雷にひきつけられた。興味深げにその小さな獣を見つめている。

「…なんならお前の身体に書いてやってもいいんだぜぇ…こいつでよ。」

大きな鎌が怪しげに光を放つ。


飃(つむじ)の啼く……の最初へ 飃(つむじ)の啼く…… 82 飃(つむじ)の啼く…… 84 飃(つむじ)の啼く……の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前