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名探偵の条件―事件編―
【推理 推理小説】

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名探偵の条件―事件編―-1

世の中には、色々な特技を持った人間がいる。
スポーツ、学問に限らず、人を引き付けるカリスマ性や巧みの業を操る器用さ…。しかし、なかには『それがいったい何の役に立つのか?』と言うものを持たされた人間もいるのだ。
―――私のように。

「七不思議?」
私は、露骨に嫌そうな顔をしてみせた。
「そう…うちの学校にもあるらしいんだ」
しかし、そんなの海に通用しない。いつもの憎らしいほどきれいなほほ笑みで続ける。
「空、まだこの手の話嫌いなのか?」
陸はバカにしたような呆れたような言い方をする。失礼な奴!
「誰にだって苦手なものぐらいあるわよ!」
私は、ホラーが大の苦手だ。以前、泣いた子供も思わず吹き出す、驚異のアミューズメントパーク・必笑?恐怖の館!(なんだそれっ!)で、大泣きした経験を持つ。
「それにしたって、空のは重症だ。陳腐な七不思議ぐらい攻略できなくて、このチガライ世の中をどう渡って行くんだ!」
「ホラーがダメでも生きていけるもんっ!」
滅茶苦茶な理論に必死の抵抗を試みるが…
「確かに、陸の理論は激しく破綻してるけど…でも、苦手は克服するためにあると、僕は思うけどな?」
うっ…
わたしたち三人は親の代からの幼なじみ。
頭脳明晰で、王子さまみたいな容姿の海。スポーツ万能で、ワイルドな陸。(星修高校学内新聞より抜粋)そして、とんでもない体質に生まれてしまった、私、空。
「大丈夫だよ。本当にチープな七不思議だから。…最後の一つ以外は」
…………。
「やっぱいやあぁぁぁ!」
海と陸に無理矢理聞かされた七不思議は、確かにかなりチープなものだった。トイレの花子さんから始まり、理科室の動く人体模型まで。ことごとく平凡なもの。しかし…。 
「夕闇のリッパー…?」
「そう。何でも、逢魔刻に現れて、女生徒の制服を切り刻むらしいんだ」
「それはホラーじゃなくてただの変質者だ!大方、アホな男が罪もない女の子にイタズラしたのよ。そうじゃなきゃ、女生徒限定なんておかしいもの」
「確かに空の言うことにも一理ある。だけど、それが事実だとすると、おかしなことが一つあるんだ」
やだやだやだやだ!ききたくなぃぃぃぃぃ! 
「過去にそういった事件の記録がないんだよ」
……え?
「つまり…噂の出どころが分からないってこと?」
私が言うと、二人はこっくり頷いた。
一月前に入学を果たした、矢壱市立星修高校は、三十年前に聖佳高校と修練高校が統合したものだ。星修自体は新しいが、元々の二校は古い歴史がある。
「星佳や修練の七不思議にもないの?」
「星佳にはごく平凡な七不思議ならあった。修練には七不思議そのものがなかったらしいんだ。まぁ、男子校だったからな」
「陸が調べたところでは、過去の二校にも、噂の発端になりそうな事件はありませんでした」
そんなこと、一体いつ調べてたんだろう…。 
「なかなかそそられる謎だろ?」
「ぜんっぜん!」
私は、力一杯否定した。
二人とも私の話を聞いてなかったのだろうか?
「とにかく!リッパーだかジッパーだか知らないけど、私はぜっっったいにかかわり合いにならないんだからね!」
言って、私は教室を出た。「おいっ!どこ行くんだよ!?」
「掃除当番!先に帰ってて!」
「あっ、空!」
呼び止める海の制止も無視して、急いで教室を出た。「ったく…大丈夫かよ?」「とにかく、掃除が終わるのを待とう。…一人では心配だからね」

大きなごみ箱を抱えて、一年生の教室のある三階まであがる。


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