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「保健室の小さな秘密」
【教師 官能小説】

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幸せな子守歌の様に-1

いつの間にか恋愛に臆病になっている自分がいた。

「奏子は…、オレがいなくても一人で大丈夫だよ」

その一言だけ残して、その人が部屋を出て行ってしまうのを。
私はただ見ているだけしか出来なかった…。


―――…
ふっと目が覚める。
「あれ…今何時だろ」
…嫌な夢を見た。
悲しい、過去の恋。

辺りはもう夕暮れ。
生徒の声も聞こえてこない。
微かに音楽教室から吹奏楽部が練習している音が聞こえる。

「いけないんだー、美月先生。居眠りして」
背後から悠の声。
思わずビクッと体を震わす。
「ビ…ックリしたぁ。いつからいたの?」
後ろのソファーに腰かけて、サッカーの雑誌を読んでいた悠が顔をあげる。

「ん〜、30分位かな」
そんな前から…っていうか、そんなに寝てたんだ。
「起こしてくれれば良かったのに」
私は少し顔をしかめて言う。
「うん…、でも良く寝てたし。それに寝顔見れたしね」
悠が机の側のパイプ椅子に腰かける。
一瞬悠の表情が翳った様に感じたけど、すぐいつもの笑顔になった。

暗い気持ちが少し晴れていく様な気がする。
心なしか口元が緩む。
ダメダメ。
会えて嬉しいという気持ちが漏れない様に、冷静に振る舞わなきゃ。

「少し…、うなされてたみたいだけど。大丈夫?」
悠が私の顔をのぞきこむ。
「ああ、ちょっと嫌な夢を見たからかな…」
「嫌な夢…、どんな?」
「ううん、なんでもない!」
私の言葉に悠が少し首を傾げたけど、それ以上聞こうとはしてこなかった。

暫くそのまま、取り留めもなく話をしていた。
最近はなかなか二人になれるチャンスがなくて、放課後に少し顔を合わせるだけになっていた。
でもこれが簡単に会う事が出来ない私達にとって貴重な時間。

外に夕闇が迫って来た頃。
「じゃあそろそろ帰ろうかな」
悠が立ち上がってドアの方へ歩いて行く。
「うん、またね」

名残惜しい。
もっと話が出来たら…。
一緒に…もっと居られたらいいのに。

そんな気持ちを持て余しながら悠の後ろ姿を見ていた。

悠がドアに手をかけた瞬間。
急にさっき見た夢の中のシーンと悠がリンクした。

「ま、待って!!」
急な大声に悠がビックリした表情で振り返る。


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