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満月が照らす夜に
【初恋 恋愛小説】

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満月が照らす夜に-1

―――自分達にはまだまだ時間が残されている。これから何でも出来る。僕等には未来がある―――。
彼女に会うまで、僕はそう信じていた・・・・あの満月の夜までは・・・・。



――――――――――――



僕は永瀬透、極々平凡な高校二年生。今年の4月から新たなスクールライフが始まる―――筈だった・・・・。
始業式の日、体がだるく、起き上がった瞬間に再び布団に倒れこんでしまった。
母親が起こしに来て、異変に気づき病院に行ったら、
「君、二ヶ月入院ね。」
と、あっさり言われてしまった。話によると、A型肝炎らしい・・・・。
一瞬にして、スクールライフから、入院生活になってしまった。

とりあえず、安静にして寝てればいいらしいのだが、仮にも、高校二年生。おとなしく出来る筈がない。
一ヶ月もすると、飽きてくる。
「とりあえず、購買にでも行こうかな。」
購買は一階のロビーから10m歩いたところにある。
僕の場合、食事制限は無いため、(パンを買っても問題ない。少なくとも、病院内で買う場合は・・・・。
パンを買い、自室に戻ろうと階段に差し掛かると、同じ年位の少女が髪を揺らしながらゆっくりと階段を昇っていた。
『ずいぶん長くて綺麗な髪だなぁ』
透がそう思いながら見つめていると、
ガタッ
「あっ!」
少女が階段を踏み外した。
「危ない!」
とっさに透は少女を支えようとした。しかし、バランスを崩してしまった。
ドダダダーン
「いつつつつ」
「いったぁ〜い。」
透は少女の下敷きになってしまった。
「はっ!だ、大丈夫ですか?」
少女は急いで透の上から退けた。
「大丈夫、大丈夫。君は平気?」
「はい、大丈夫です。あの・・・・ありがとうございました。」
「いや、大したことじゃ」ズキッ
「っ!」
立ち上がろうとした透は激痛のあまりその場にしゃがみこんでしまった。
「どうしたの!?」
「いや、足捻ったみたいで・・・・」
「ええっ!?どうしよう」
彼女がおろおろしていると、
「どうしたの?」
新米看護士の吉崎真紀子がやってきた。


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