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地獄の前のひと時は…
【戦争 その他小説】

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地獄の前のひと時は…-1

重砲で薙ぎ倒された木々に、スターリンのオルガンが金切り声をあげ響き渡る。
戦車のキャアピラ音に乗せられて、数分後の地獄はやってきたのだ。

味方砲兵の防御砲火の中を、荷台に死体を乗せたT34は着実に距離をつめてくる。
車内の人間が固唾をのんで見守る中、車長の静かな声が妙に響いた。

『先頭、距離1500』

まだ1500あると思う自分に、あと800メートル縮まれば地獄の開始を意味する声。
僕は、標準器を覗き込み三角形の頂点を敵に合わせた。装弾手のハンスは重い砲弾を中腰で抱えたまま見えない装甲板の向こうの敵を見据えていた。
左胸に光る、戦車突撃章。だが、なんど体験しようとも慣れることはない緊張と恐怖のひと時。

そして、いよいよ始まるであろう恐怖の時

『距離、1000切った!イワンが発砲!』

車長の叫び、揺れる車体、吹き飛ぶ草木。

『距離、900』

あと、数秒で地獄は訪れるだろう。いや、すでに訪れているのか?

『距離、800』

守護天使に願うは一つ。
生きて、帰りたい!!!

『距離、700』

ついに始まった。地獄…
お互いにな、イワン…

『撃発!!!!』






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